勉学だけでなく、スポーツの意義も強調

〈何よりも深刻なのは、物質主義、刹那主義、利己主義に堕し時代精神が劣化していることである。(略)衆愚を煽るマスコミと沈黙していく知識人の光景は戦前の我が国やワイマールと酷似している〉

強烈な文言が並ぶ浩志会のレポート

 マスコミの姿勢をはじめ、先の大戦前と似た社会状況に懸念を示す神田氏。そして〈我々は天才ではない以上、謙虚に歴史や哲学から学ばなくてはならない〉と綴ったうえで、

〈知的空間を形成する主体になるためには、勉強を続けなくてはならない。各自が毎年、最低100冊は読むことが望ましい〉

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 と読書の意義を説く。さらに、勉学だけでなく、スポーツの意義も強調。

〈自分の人生を振り返っても、心身を鍛えてくれたのはサッカー部、水泳部であり、組織の基本を教えてくれたのは少林寺拳法部である。社会を知ったのは草野球かもしれない。しかし、空地が駐車場や住居に化け、時間が塾と電子ゲームに取られる今の青少年は、どこで、厳しい国際社会で生き抜く訓練を受けるのだろう〉

「ひと」をあらゆる場面で育てるより他ない

 最後に、人材育成こそ日本復活の鍵だと訴える。

〈結局、遠回りだし、教育の再生産性を考えると途方もなく辛い作業だが、「ひと」をあらゆる場面で育てるより他ないのではないか〉

 その神田氏も7月末には財務官を退任。知人にはこう洩らしている。

「退任したら、家族旅行や友人と会ったりプライベートを優先したいですね」

 神田氏に“檄文”について見解を尋ねるべくメールを送付したところ、「国家公務員という立場上、回答は差し控えさせていただきます」と返事があった。

 現在も浩志会の会員だという神田氏。(くだん)の“檄文”では〈職場で、家庭で、地域社会で、あらゆる場で積極的に、自ら謙虚に学びつつ、啓蒙活動を実践して欲しい〉とも記していた。今後は自ら日本復活に向けた啓蒙活動を実践していくのか。