「(尼崎)東警察署が変死体の調査に入ったんですけどね、こんなことあるのかって刑事さんも言うてましたよ。私の方でも、タナカチヅコさんの身内の方を探したいし、亡くなった方は個人情報保護法の関係もなく、守秘義務も発生しないので、もし報道してもらえる機会があるなら、利用させてもらいたいんです」

 どんな事件なのかは全く想像がつかなかったが、電話のやりとりだけで事足りるような簡単な話ではなさそうだ。聞いてみると、今日の夕方には早くも取材対応できるという。太田弁護士の事務所は尼崎市内にあったが(尼崎市は兵庫県だが大阪市と同じ市外局番だ)、時節柄、Zoomでのリモート取材が決まった。

よほどのスクープか、どうしようもないガセネタか

 インターネットで調べると、相続財産管理人とは、相続人がいない場合などに故人の遺産を管理・清算する職務のことで、申し立てを受けた家庭裁判所が弁護士や司法書士を選任するという。取材したことがない分野で、こんな仕事があるとは知らなかった。今回は、亡くなったタナカチヅコさんの遺産を巡って、管轄である尼崎市が家庭裁判所に申し立てて太田弁護士が選ばれたというのが顚末のようだ。

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 さて、太田弁護士は一体、どんな話を展開する気なのだろう。

『ある行旅死亡人の物語』(毎日新聞出版)

 取材の際、自分の活動を誇張気味に話す人物と出会うことは時たまあるが、「弁護士を22年やってるが、かなり面白い事件」というオーバーな表現を聞いたのは初めてである。

 よほどのスクープか、どうしようもないガセネタをつかまされるか。私は冷めたコーヒーを一口で飲みきり、職場へ向かった。

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4位:「ずっと男性器にまみれた生活を送っている」処女のまま大学1年で風俗嬢に…21歳の貧困女子大生が、風俗店を辞められないワケ
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