横浜・関内で路上生活を送っていた元ホームレスのナムさん(68)。「YouTubeやりませんか?」と誘われたことをきっかけに、2022年、YouTubeチャンネル「ホームレスが大富豪になるまで。」を開設。現在は登録者数約40万人の人気を誇る。

 ナムさんは、20代後半でギャンブルにハマって身を滅ぼし、日本各地を転々とした挙句、還暦を過ぎてホームレスになったという。彼はどんな人生を送り、ホームレスになったあと、どのような生活をしていたのか――。

 ここでは、ナムさんの著書『ホームレスが大富豪になるまで。 YouTubeで人生大逆転!どん底から這い上がるには』(KADOKAWA)より一部を抜粋して紹介する。(全3回の2回目/3回目に続く)

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写真はイメージです ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

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ホームレスの人間関係

 俺が地下通路で生活していた頃は、十数名のホームレスがいた。

 基本的に、ホームレス同士で個人的な情報を話すことはないよ。なんでホームレスになったとか、どういう人生を送ってきたとか、そういうのは話題にしない。「昔は金持ちでした」とか言われても興味ねえし、「人殺しました」って言われても困っちゃうじゃん。

 そういう意味で、俺たちはお互いを「空気」だと思ってる。

 空気だって、たまに小さな風が吹いたり、バイブレーションが起きたりするでしょ。俺たちはお互いを無視してるわけじゃなくて、「今日は暑いね」とか、「炊き出し何時からだよ」とか、そういう日常的なやりとりはするわけ。空気のなかでたまに起こるバイブレーションのように、極めてミクロで、日常的な会話が発生する感じかな。

 で、定期的に空気の入れ替えをするように、今までいたヤツがいなくなったり、新しいヤツが入ってきたりする。ホームレスの人間関係はそんなイメージ。一般社会ともドヤ街のそれとも少し違う。