普通の政策を実施すれば日本は復活できる

 このままでは、日本は食べていけなくなるのではないか、食料やエネルギーを海外に依存する日本人の生活はどうなってしまうのか、そんな心配をするのが自然です。生憎、打ち出の小槌も永遠のフリーランチ(ただ飯)もありません。厳しい国際競争のもとではなおさらそうです。必要な改革の努力を怠れば、深刻な事態に陥りかねません。

 しかし、悲観することはありません。他国がやっているような、市場メカニズムに新陳代謝をゆだねて生産性や賃金の上昇を図るといった普通の政策をしっかり実施するだけで、日本は強く復活することができます。というのも、数十年、給与水準も投資も滞っていた日本には大きな伸びしろがあるのです。今なら大手術ではなく、オーソドックスな市場活性化、要は本来の市場のダイナミズムを取り戻すといった手段で、相当に強くなれるのです。例えば、人口減少、人手不足が問題になっている中、もっと人々が、特に若者が、成長性があって、高い給料を払える企業や業種に転職するようになれば、労働者も社会全体も豊かになります。内向的、リスク回避的、閉鎖的、硬直的になったともいわれる日本ですが、新陳代謝、国際化、ダイバーシティ、いろんな意味での流動化と開放が、閉じ込められていた無限の可能性を羽ばたかせるでしょう。

為替介入の指揮官として注目を浴びた ©共同通信社

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 日本は昔から、国内で切磋琢磨しつつ、海外から新しいものを貪欲に吸収して、素晴らしい独自文化を育ててきました。奈良・平安、明治維新、近くは敗戦後のGHQ支配下での復興など、枚挙に暇がありません。ですから、いま求められているのは悲壮な改革というより、日本人の本来の属性を取り戻すだけということかもしれません。