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農林中金が“1兆5000億円赤字”に陥った理由を20年取材するジャーナリストが指摘「“資本の幅”が厚すぎて逃げ遅れた」

2024/07/31

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ビジネス, 経済

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 総資産は約102兆円、市場運用資産残高は約56.3兆円。ウォール街でも「ノーチュー」という名で知られる日本の巨大金融機関が危機に陥っている。

 農林中央金庫(農林中金)の2025年3月期の最終赤字額が、1兆5000億円規模に膨れ上がるとの見通しが広がっている。格付け会社ムーディーズは「格下げの方向で検討」、S&Pグローバル・レーティングは格付け見通しを「安定的」から「ネガティヴ」に変更する事態となっている。

「知られざるエクセレントカンパニー」で何が

会見で巨額損失の見通しについて発表した奥理事長 ©時事通信社

 JAグループの頂点に君臨する「知られざるエクセレントカンパニー」で今、何が起きているのか。

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 20年にわたって農林中金を取材し、「文藝春秋電子版」で「〈崖っぷちの農林中金〉1兆5000億円巨額赤字でもトップ続投。次期理事長は一人に絞られた」と題するレポートを執筆した経済ジャーナリスト・森岡英樹氏が、同サイトのオンライン番組に登場。農林中金が危機に陥った理由について解説した。

 森岡氏は「一言で表現するならば、(農林中金は)市場の動向を見誤った」とした上で、巨額赤字計上の背景について、こう語った。