青山 開成、東大、大蔵省にハーバード大学留学。まさにエリートという経歴ですが、挫折や苦労した経験はあるんですか?

 小林 初当選までは、民主党政権下でもあり、厳しい経験ばかりでした。駅頭で自民党の幟を立てて挨拶すると、「死ね」と言われたことが何度かありました。民主党支援者が多い町内会に呼ばれた時は、「帰れコール」を受けたこともある。挨拶すると、「お前の話を聞きに来たんじゃねえ」と怒られ、「帰れ、帰れ」と。帰ろうとしたのですが、町内会長は自民党支持者だから、「名刺を配れ」と勧めてくる(笑)。配り始めるとさらに怒りを買って、逆にみんな帰ってしまった。あれはきつかったですね。あの頃はお金がなくて、秘書も雇えず、1人でミニバンを運転しながら活動していました。

(左から)宮崎哲弥氏、小林鷹之氏、青山和弘氏 ©文藝春秋

日本を「自律」した国に

 青山 最後に、小林さんが実現したい「国のかたち」について教えてください。

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 小林 一言で言うと、日本を、世界をリードする国にしたい。もう一度、国際社会の真ん中に立たせたい──そのためには「自立」と共に「自律」した国にしなければなりません。他国の動向に右往左往せず、方向性を自らの意志で決める。同時に国際社会で信頼され、必要とされる国にしたい。

 そのためにはまず、国力を高めなければなりません。国家運営の根幹は暮らしを豊かにする経済と、国民を守る安全保障。それを下から支えるのがイノベーションです。そして、イノベーションを生み出すのも、その成果をどう使うかも人。全ての基礎は人づくり、つまり教育です。

 安全保障については、安倍政権で初めて国家安全保障戦略が作られましたが、経済やイノベーションにも戦略が必要。あらゆる分野をまとめた、より高次元の国家戦略を作らなければなりません。国家としての軸が出来れば、米国や中国がどう動いてもブレない。それが無い中で「トランプ氏が当選したらどうしよう」と言っても“対症療法”に過ぎません。

本稿は2024年6月18日に「文藝春秋 電子版」で配信されたオンライン番組を再構成したものです。全文は「文藝春秋 電子版」でご覧いただけます。