菅義偉前首相の発言が波紋を広げている。6月23日に「文藝春秋 電子版」が配信したオンライン番組「自民党は復活できるか」で、約60分にわたり、文藝春秋総局長・新谷学のインタビューに応じた菅前首相。現在の自民党の置かれた状況が「結党以来の危機」であることをはっきりと認め、秋に予定されている総裁選の候補者に求められる「ポスト岸田の条件」についても言及した。
「最近では自民党内から『このままでは政権交代になる』という悲痛な叫びが聞こえてきます」
「どなたが立候補しようと、『本質を見抜く力のある人』が総裁に就いてほしいと思っています。いざ総理になると、派閥や周囲に必要以上に気を遣ってしまう人が多いですから。本質を捉まえて、実行しなくてはならない改革を貫徹する政治家が総理になってほしい」
具体的な総裁候補については、「どなたを応援するかはまったく決めていません。いずれにせよ、まだ候補者も決まっていない状況ですから具体的に名前を挙げることは控えるべきでしょう」としながら、それぞれの印象をこのように語った。
「石破茂さんは期待できる経験豊富なリーダーのお一人だと思います。真正直な人柄で、簡単には主張を変えないところも強みです。
加藤勝信さんは穴のない働きぶりで、どんな仕事でも安心して任せられる人です。私の仕事は穴だらけですから(笑)、私の内閣の時に確かな腕を持つ彼に官房長官をお願いしたのです。
小泉進次郎さんは多くの関係者が将来のリーダーと認めている人です。ライドシェアにも指導的立場で取り組み、改革意欲に富んでいます。環境大臣を経験したことで、官民双方の意見をバランスよく取り入れることのできる『幅』も出てきたと思います。
河野太郎さんは以前から、私の同期のなかで総理になれるのはこの人だろうと考えてきました。誰もが認めるところと思いますが、難しい課題を解決する突破力では彼の右に出る政治家はいません。
茂木敏充さんは先日食事に行ったところを報道陣に撮られてしまいましたが、年に数回、定期的に一緒に食事をさせてもらっています。自民党に寒風吹きすさぶ中、幹事長として党運営をしっかりやってくださっています」
自身が総裁選に立候補して、再び総理大臣を目指すという可能性については、「それは絶対にありえません。絶対に」と強く否定した。
菅氏は自民党への不信感が強まっている原因として、岸田文雄首相自身の責任についても触れた。政界が注目する総裁選のキーマン。その言葉はすべてが見逃せない内容だ。このオンライン番組をもとに記事化したインタビュー記事「ポスト岸田の条件」は、7月2日(火)より「文藝春秋 電子版」で先行公開される。同記事は雑誌「文藝春秋」7月10日発売号にも掲載される。
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菅前首相が出演した「文藝春秋 電子版」のオンライン番組「自民党は復活できるか 」は、こちらのリンクからご覧いただけます。https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h8186
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