「(派閥の)原点は、自分に良いポストが来るために集まっているのではないか」

 自民党の派閥の実態についてこう語るのは、元石破派で現在は無派閥の齋藤健・経済産業大臣だ。

 昨年12月、政治資金パーティを巡る裏金問題で更迭された西村康稔氏の後任として経産相に就任した齋藤氏。1月24日に、文藝春秋ウェビナー「青山和弘の永田町未来café」に出演し、派閥の弊害や「ポスト岸田」の人物評、経産相としての能登半島地震や万博への対応について語った。

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左から番組ゲストの曽我豪氏(朝日新聞編集委員)、齋藤健氏、青山和弘氏 ©文藝春秋

親分に「次の総裁選はコイツでいく」と言われるのは…

 齋藤氏は、2015年の石破派旗揚げから参加していた石破氏側近の一人だが、2021年に退会。以降、無派閥議員として歩んできた。その理由について、次のように説明した。

「派閥に入ると、もし親分さんが『次の総裁選はコイツでいく』と言ったら、その人をやる。その人が勝つとポストで優遇される。これが派閥のいちばん大きな機能です。ただ私は、『この人が日本を背負って欲しい』という一票を、自分の意思で選びたいと考えた。国のために最も重要な一票を、自分のポストのために売ってしまうことはできない。(派閥に)入っている人は、総裁選で勝つことで『良い思いをしよう』というところがあるんじゃないのかな」

文藝春秋ウェビナーに出演した齋藤氏 ©文藝春秋

 1月19日に岸田文雄首相が岸田派の解消を表明すると、安倍派と二階派も後に続いた。しかし、1月22日の朝日新聞の世論調査では「派閥が解散すれば政治の信頼回復につながると思うか」との質問に、72%が「つながらない」と回答している。この状況に、齋藤氏はこう反論した。

「政治プロセスを考えた時に、ここでバンッと(派閥解消を)やったから、党の改革が進む一つの大きなモメンタムにはなった。『これは本気でやらなくちゃいけない』というメッセージにはなった」

企業からの献金がないと政治活動は回らない

 裏金問題を受け、立憲民主党や日本維新の会など野党各党は、政党への企業・団体献金の禁止を提起している。

 これについて齋藤氏は、「企業からの献金を頂かないと(政治活動は)回せない」と指摘する一方、改革案として高額の企業献金の規制について言及した。

「私もパーティをやりますし、個人献金も頂いていますが、それだけで回せますかと言うと、事務所を構え、光熱費や郵送費、印刷代を払い、(国が給料を負担する)公設秘書以外に4人の秘書の給料を自分で出さなきゃいけない。政党助成金は頂いていますけど、全く足りません。

 かえって疑われてしまうので、高額の寄附はいりませんが、きちんと公にして、少しずつ(献金を)頂くことは実際に必要です。一件当たりの寄附額を規制し、そしてオープンにすることです」