8月19日、自民党総裁選への出馬を表明した小林鷹之氏とは何者なのか。文藝春秋の座談会に登場した小林氏が語った若き日々とは……。

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「総理ってかっこいいな」

 青山 小林さんの経歴について伺いますが、岸田総理と同じく開成高校出身なんですね。これまでも交流はありましたか?

 小林 最初と2回目の選挙は非常に厳しかったので、岸田総理に応援に来ていただきました。岸田総理というと一般的に温厚なイメージだと思うんですが、実は男気に溢れています。印象に残っているのは、土砂降りの中、スーツがビチョビチョになりながら、マイクを握って熱弁を振るってくれた姿です。演説後もそのまま商店街を一緒に練り歩いて、「小林をよろしく」「小林をよろしく」と一人ひとりに頭を下げてくれた。このご恩は一生忘れません。

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自民党総裁選への出馬を表明した小林鷹之氏 ©文藝春秋

 青山 そもそも、小林さんはサラリーマン家庭で育ったそうですね。

 宮崎 「世襲」とは無縁なんだね。

 小林 親戚にも政治家はいません。先日、小学校の卒業文集を見返したら「将来、総理大臣になってアフリカの難民を救う」と書いてありました。その頃、政治なんて全然分からなかったのですが、当時の中曽根康弘総理と米国のレーガン大統領が「ロン」「ヤス」と呼び合うのをテレビで観て「総理ってかっこいいな」と。

 青山 東大法学部から大蔵省に入省されますが、大学ではボート部だったので「体力採用」だったとか。

 小林 そうですね(笑)。最初に配属された理財局の総務課長は、「お前は財政のことは何も分かってない。ボート部で鍛えた体力と負けん気の強さに可能性を感じたから採った」と。実際、当時は体力勝負で、毎日深夜まで働いていました。

 青山 地下の仮眠室は“ホテル大蔵”と呼ばれていましたよね。

 小林 12月の予算編成は特に忙しく、月曜に登庁して、連日仮眠室に宿泊。次に太陽を見たのが土曜の朝なんてこともありました。