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「彼女は巨悪と闘う検事というより、政権の顔色を窺う官僚的なタイプ」

 当然、捜査現場は「身柄を取る」と息巻いていたという。だが、逮捕を阻んだ人物がいた。今年7月、女性初の検事総長に就任した畝本(うねもと)直美氏(62)である。

「畝本氏は法務省保護局長などを歴任してきましたが、捜査現場での経験が乏しい。歴代総長が辿ってきた枢要ポストも経験していません。2歳上の夫・畝本毅氏も前高松高検検事長で、現在は弁護士。2人は1999年に湾岸エリアのタワマンを購入しています」(同前)

 広瀬氏の事件が総長としての事実上の“初陣”となったわけだが、周囲にはこう洩らしていたという。

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「自民党総裁選も近いから」

7月9日、就任の記者会見をする畝本直美検事総長 ©時事通信社

 捜査関係者が続ける。

「彼女は巨悪と闘う検事というより、政権の顔色を窺う官僚的なタイプ。支持率への影響を避けようとしたのでしょう。そんな中、岸田文雄首相が14日に退陣を表明し、広瀬氏も事実関係を認めて議員辞職。これを受け、在宅起訴で済ませる方向に舵を切ったのです」

 畝本氏の自宅を訪ねたが、夫と思しき男性が、一呼吸置いて「ちょっと不在にしてます」と答えるのみ。

 逮捕を逃れた広瀬氏。総長にめぐまれたのか……。