「週刊文春」が、新人看護師への“一斉クビ切り宣告”患者への“閉じ込め商法”などの問題体質を報じた美容外科大手「東京中央美容外科(TCB)」。

 次々とクリニックへの告発が寄せられる中、多くの職員が憤るのは、職員向けに減給の基準などを定めた「服務規律」というルールの存在である。この問題について、取材した「週刊文春」の西山里緒記者が解説する。

「TCBには、就業規則とは別に非常に細かいルールを定めたリストである『服務規律』というものがあります。ルールを破ると減給されるという、実質的な罰金制度です。

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 このルールは理不尽なものが多く、たとえば肘をついていたら5000円減給、社員同士で給料の話をしたら1万円減給といった内容で、職員からもおかしいのではないかという告発が相次いでいます」

週刊文春が入手したTCBの“ルール”リスト

 また「服務規律」には、減給処分のみならず降格処分も定められている。1ポイントの違反で5000円の減給処分となり、4ポイント違反すると正社員から有期雇用の“研修生”へと降格させられるのだ。さらにこの制度の理不尽な点は、時には身に覚えのない“服務規律違反”で処分を受けることがあることだという。

「社内に通報フォームのようなものがあり、そこに『この人は肘をついていました』『居眠りをしていました』などと、誰でも密告することができてしまう。通報された場合、マネージャーから一応確認が入るのですが、ほとんど通報の内容のまま“服務規律違反”だと判定されてしまう」(西山記者)

 気に入らない職員を密告できてしまう状況で、職場はどのような雰囲気だったのか。

「今回取材した職員の方からは、みんなすごくギスギスしていたとか、会社に行けなくなってしまったという話も聞きました。職員同士が互いに監視しあっていて、減給や降格に日々怯えながら働くのは、ストレスフルだろうなと感じました」(同前)

TCBグループ代表の青木剛志氏

 TCBはクリニックの行動規範の1つに「お互いを尊重し楽しく働けるクリニック」を掲げているが、内実はあまりにも乖離していた。職員が安心して働くことのできないクリニックで、患者は安心して受診することができるのかーー。

「服務規律」が抱える法的な問題、導入の背景、現役看護師からの証言などについて記者が解説した動画番組は「週刊文春電子版」で見ることができる。

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