ドジャースの大谷翔平(30)が19日、マイアミで行われたマーリンズ戦で、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成した。前人未到の挑戦を前に大谷にまつわる“5つの秘話”に迫った、「週刊文春」の記事を公開する(初出:「週刊文春」9月12日発売号。年齢、肩書は当時のまま)。
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「ショウヘイはもう通訳なしに英語を完璧に話せるらしいね。あなたは彼が完璧に英語を話すところを見たことがある?」
そんな質問を受けたドジャース・大谷翔平(30)のチームメイトは、おもむろに口を開くのだった――。
水原の事件後に密着取材記者が見た“ある進化”
大谷は9月9日、自己最多に並ぶ46号ホームランを放ち、前人未到の50本塁打&50盗塁「50-50」にまた一歩近づいた。
ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。10年7億ドル(約1015億円)の超大型契約をして鳴り物入りでドジャースに移籍。ところが開幕直後、長年の相棒だった水原一平元通訳の事件が発覚した。
「検察の訴状で大谷の水原への依存が明らかになった。英語が話せないため水原を頼り切り、26億円もの大規模窃盗に気が付かなかった。ロサンゼルス・タイムズが『オータニ、大人になれ』と批判したこともあった」(現地記者)
それでもグラウンドでは歴史に残る活躍ぶり。密着取材する記者は、ある“進化”を目撃していた。
「チームメイトや球団スタッフと積極的にコミュニケーションを取るようになった。オールスターがあった7月以降、チームに溶け込み、後半戦は笑顔が非常に増えています」(MLB取材歴30年の笹田幸嗣記者)
大谷の英語力についてチームメイトは…
冒頭は7月18日に生配信された米ポッドキャスト「ファウル・テリトリー」内でのこと。同僚のマックス・マンシー内野手が、大谷の英語力についてこう率直に語っていた。
「完璧な英語とは言い過ぎだけど、英語で話す努力はしていて良い会話ができている。たまに何て言ってるの? と、理解できていないこともあるけど、彼は一生懸命チームメイトと関わりを持とうとしている」
また、大谷がよく使う英語のフレーズも明かした。
「打者ミーティングではいつも『ミドル』(真ん中の球を)『チョップダウン』(叩きつける)と言う」