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「負け組」相談者たちの着想はどこから?

――『仏滅結婚』には他の相談所からも爪弾きにされるような「負け組」の相談者がたくさん出てきます。キャラクター描写はどういったところから参考にされていますか。

浅田 自分はもともとパンクバンドをやっていたり今も漫画家という不安定な職業なので、結婚条件的にはいわゆる「3B(バーテンダー、美容師、バンドマン)」に近いと思ってます。出てくるキャラクターはそんな自分の周りにいる似たような3Bタイプだったり、昔まったく女性に不慣れで頓珍漢なことをしていた自分をモチーフにしていますね(笑)。

 あとは破天荒な恋愛をしてきた知り合いの女性やスタッフ、編集さんの話だったり、基本的に実際の人間をベースにすることでリアルなキャラクターになるよう心がけています。

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――浅田様が共感するキャラクターはいますか? どのようなところに共感するか教えてください。 

浅田 各キャラクターに少しずつ自分の中の黒い部分を反映させているので、全部のキャラに共感していますし、全部のキャラは自分のことだと思ってます。なかでも今連載中(2024年9月時点)のシリーズに出てくるバンドマンの坂東(ばんどう)は、特に自分の過去が投影しやすいキャラクターですね。53歳スナックママとの婚活がどう着地するかは自分でもまだ予想がつかず、ワクワクしています。

バンドマンの坂東 『仏滅結婚』より

――逆に浅田様が絶対に「この人とはお見合いもしたくない」と思うキャラクターはいますか。

浅田 “監禁男”こと冴島肥禿くんのシリーズに出てきた記憶喪失の佳代ですね(汗)。気づいたら記憶なくして借金漬けですよ。あれ、怖いです(笑)。肥禿の方がヤバいやつに見えるかもしれませんが、好きな人を“所有したい”“そばにおきたい”“誰にも会わせないで全部自分のものにしたい” という欲求は人間少なからずあると思うので、意外に共感できる部分があるのかなって思います。

佳代と冴島肥禿 『仏滅結婚』より

人間の内にある「黒さ」を楽しんでほしい

――「仏滅」と「結婚」は、一見とても相性の悪い言葉に思えます。その2つを合わせたタイトルにした経緯や理由を教えてください。

浅田 相談所にやってくる客自体が縁起の悪い人たちなのですが(笑)、「仏滅」には“悪縁を断ち、新しいことを始める”という意味もあるそうで。相談所に来るいろんな人たちに、悪縁を断ち、新しい自分になってほしいという思いからタイトルをつけました。

 あとは、キャッチーなタイトルだとドラマ化しやすいのでは? という下心もあります(笑)。今のところドラマ化のオファーはないので、このインタビューを読んでくれたプロデューサーの方はぜひ編集部までご連絡ください(笑)。

『仏滅結婚』1巻(ヒーローズコミックス)表紙

――『仏滅結婚』はどんな人に読まれてほしいでしょうか。また、これから読む読者に向けてメッセージがあればお願いします。

浅田 人間の内にある「黒さ」を楽しんでほしいですね。黒い感情やヤバい人たちしか出てこない漫画ですが、それが人間だと思っています。そんなキャラたちが恋愛でもがいて、それでも頑張って婚活するという人間のパワーを感じて楽しんでいただけたらと思います。

 所々婚活の豆知識も盛り込んでいますし、自分が思う恋愛観や結婚観も織り交ぜているので、婚活で悩んでいる方の指南書にでもなれると嬉しいです。なるかなあ(苦笑)。