宮島 成瀬に関しては、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉なんです。「こち亀」の両さんみたいに周りを巻き込み、破天荒で、みたいな感じですね。書いているうちにこうなりました。なぜ成瀬がこんなに人気なのか、ちょっとわかりません(笑)。
編集者たちの婚活を聞いて「住む世界が違うと思った」
――『婚活マエストロ』は、婚活パーティーを東京ではなく、地方都市を舞台に描いたところが新しかったのではないかと思います。
宮島 最初に婚活というテーマを提案された時、編集者さんたちが周囲の婚活について語ってくれたんです。アプリで相手を見つけたとか、内縁関係がどうとか話してくれたんですが、住んでいる世界が違うと思った(笑)。私はずっと滋賀に住んでいて、周りで全然そういう話を見聞きしない。だから婚活パーティーを地方でやるというアイデアが浮かんできました。
以前、テレビ番組で、新川さんが嫌だったこととして「女に生まれたことと地方に生まれたこと」を挙げていらっしゃったのを見て、その言葉はすごく刺さりました。
新川 あの放送の後、実家から「あんなこと言っちゃいけません」と電話がかかってきて、そういうところが嫌なんだよ、って(笑)。私は宮崎県育ちですが、本を読む子が周囲にいなかったし、トップ大学に進学すると今度は女というだけで色メガネで見られる。東京で男に生まれたら、もっと素直でいいヤツになっていたんじゃないか、と思ったりとか。
スタート地点が自分の性格と遠いところにあって、心地よい場所にたどり着くのに時間がかかりました。
宮島 私は女に生まれたことはそれほどではないけど、静岡出身なので、地方で生まれたことに関しては共感できます。出版社の編集者って東京出身で、いい学校を出ている人が多いイメージ。それがめちゃめちゃうらやましかったりしますね。
※お二人のパートナー観や“リズム派作家とノンリズム派作家”の違い、新川帆立さんの新刊『ひまわり』(幻冬舎、今秋発売予定)について語った全文は、現在発売中の『週刊文春WOMAN2024秋号』にて読むことができます。
みやじまみな/1983年静岡県富士市生まれ。滋賀県大津市在住。京都大学文学部卒。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞などを受賞。2023年同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』でデビュー。
しんかわほたて/1991年アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれ。宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。
写真=鈴木七絵/文藝春秋
【週刊文春WOMAN 目次】大特集 パートナーは必要?/谷川俊太郎×内田也哉子「母と父の恋文」/『光る君へ』大石静、『虎に翼』吉田恵里香に聞く/稲垣吾郎×朝比奈秋 白熱3時間
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2024年9月21日 発売
定価715円(税込)