「ハンバーグ側のおいしさを言いたくなりますけれど、『挽肉』と『米』を並列させたことによって会社が米に手を抜けなくなりましたよね(笑)。それに、米が美味しいって言えば言うほど『実はハンバーグも』って言いたくなる。挽肉って書いたことによってフレッシュさも出ていて見事。僕がクライアントだったらこんなふうに褒めます(笑)」
シンプルな言葉を良しとする「勇気」
糸井さんは「素直すぎる」と、同業者に褒められたコピーがあるという。『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」だ。
「(コピーライターの)谷山雅計さんにこのコピーはあまりにも普通すぎて、私には思いつけないと言われました(笑)」
一方で、同じくジブリ作品『もののけ姫』のコピー「生きろ。」は“直球”にみえて大変化球なのだという。
「『生きろ。』は大変化球。なぜかというと『生きろ』と命令する人はいないんですよ。ボールは自然落下していきますから、“直球”って上に回転がかかった変化球なんですよね。(つまり、コピーライターは)突き詰めたシンプルな言葉を『これでいいんだ』っていう判断をするのが仕事なんでしょうね」
ほかにも、糸井さんが発起人のイベント「前橋BOOKFES」の裏側、「ほぼ日手帳」スタート時の失敗談、小西氏の新刊『すごい思考ツール』の話題まで語り合った。
「文藝春秋 電子版」では、糸井氏と小西氏の対談「トップクリエイターの『すごい思考ツール』」「『アイデアと企画』が何よりも大切な理由」のフル動画を配信している。テキスト版「“マネタイズ大王”にご用心」も公開中。