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 自信の無さは「主語」にも表れていた。

 裏金問題やリニア新幹線の質問では「私自身が」「私といたしましては」と自分の意志や責任を強調するが、経済政策の質問では一貫して「政府として」と答弁の主語が変わり、「私ども」と複数形を使っていた。この問題に関しては、首相になったとはいえ得意分野ではないだけに、自分の言葉で話すことにためらいがあったのだろう。

高市早苗氏との決選投票は激戦だった ©︎JMPA

 首相就任直後に日経平均株価が2000円急落するなど経済界から不安視されていたが、本人も、経済政策を自分で決めるという手ごたえを感じていないのかもしれない。

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外交・防衛分野になると身振りも大きくなり「私が」と一人称が復活

 一方で、外交・防衛分野についての質問では、資料を見ることなく質問する記者を凝視して回答した。他の質問よりも長く時間を取り、自信たっぷりに滔々と自らの意見を述べる。

 アメリカや韓国などとの関係について「石破総理ご自身の首脳外交の在り方というのは」と問われると一瞬身を乗り出し、「アメリカの新大統領とどのようにして関係を深めていくのか」と聞かれた時には首を前に突き出すような仕草で食い入るように記者を見つめた。質問への食いつき方からも石破首相自身の関心の高さがわかる。

石破茂新総裁 ©時事通信社

「私は」と自分の経験に基づく意見を披露し、自然と身振り手振りは大きくなり、石破首相らしい独特の口調も戻っていた。地位協定についても「必要に応じて党における議論というものは求めてまいりたい」と、党の意見よりも自分の意見を優先させるという自信をみなぎらせていた。

 質疑応答では、総裁選中の発言と総理就任後の行動が違う点へのツッコミも入った。まず最初に、幹事社のテレビ朝日から「総理になったら変わっちゃったんじゃないの。豹変するんじゃないの、そうした声がでていますけれども、それにはどうお答えになるか」と問われたが、これは石破首相にとって想定の範囲内だったようだ。

 軽く頷いたり、わずかに頬を緩めたりしながらまっすぐ記者を見ていた。「今回、不信任が可決されたわけでも、信任案が否決されたわけでもございませんが」と答えるときも表情は変わらず、リラックスした独特のリズムで落ち着いた調子だった。