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ネガティブな表情を押し殺した“ある質問”とは 

 しかし、衆議院解散について、再度説明を求められた時は表情が変わった。

 指名された北海道新聞の記者は、「国民の皆さんは石破総理というのは、耳に痛くても正論を常におっしゃる、そういう人物だという印象を持っている」とまず石破首相を持ち上げた。それを首相は、首をやや傾け、わずかに頷きながら聞いていた。

 しかし続けて解散総選挙について「総裁選のときに言っていることとやはり違うというのが大方の受け止め」と問い詰められると、俯いて視線を伏せ、口元を一文字に結ぶ厳しい表情になった後、少しだけ歯を見せて微笑んだのだ。

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 苦笑いにも見えるこの表情には、ネガティブな感情を押し殺した気配が読み取れる。自身の発言を翻したことを、本人も良しとは思っていないのだろう。

 しかし、すぐに固い表情に戻った石破首相は解散については回答せず完全にスルーした。司会者が次の言葉を発するまでしばらく間が空いたが、石破首相は質問されたことすらなかったかのように振舞った。

 野党議員との面会で「本音を出すと国民は喜ぶ、党内は怒る」と愚痴った石破首相だが、やはり自分の信念と党内の論理の狭間で、完全に納得した運営ができているわけではないようだ。そのフラストレーションが、会見の表情からも滲んでいた。