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(もし、このまま自分が死んだら、いずれ遺体が見つかって、そのときにコウは何も説明できないだろう。やっぱり、このまま放置しておくことはできない…)
「お母さん、ボク、これからどうなるの?」
由美子は警察に自首する決意を固め、すでに18歳になっていたコウを呼んだ。
「ずっと黙っていたけれど…、私は警察に行かなければならない理由がある」
「えっ、どういうこと?」
「この家には私が産み落とした4人の子供たちの遺体がある。ずっと言えなくてごめんね…」
そのときのコウの衝撃たるや、想像に難くない。
「お母さん、ボク、これからどうなるの?」
「分からない…」
「いつ帰ってくるの?」
「それは…、本当に分からない。17年か、18年は帰れないかもしれない。だけど、アンタは頑張って生きていくんだよ」
こうして由美子は近所の交番を訪れたのだ。
警察は当時の交際相手だったA氏を捜しあて、事情を聴いた。A氏は事件の経緯を聞いて仰天した。
「出産も遺棄も全く知らなかった。私の子だったら、相談してくれれば何とかしたのに…」
当局は4人の子供たちの死因も調べたが、結局、「殺人罪までは立証できない」として、由美子は死体遺棄罪のみで起訴された。
「4人のことは1日たりとも忘れたことがない。手放すことなんて、考えたこともなかった。いつも一緒に生活しているつもりで、4人には名前も付けていた。生年月日も覚えている。いくら謝っても謝り切れないが、本当に申し訳ないことをした…」