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「なんてパワーワード……!」と驚いたセリフ

 取材をもとに描かれているというだけあって、ドキリとするようなセリフが次々と飛び出してくる。特に印象的なセリフを訊ねると……。

「2巻の中で、主人公のあかりがセラピストが施術中に反応していたことを回想し、その話を聞いたあかりの友人は思わず『勃起というチヤホヤ!』というセリフを発します。なんてパワーワード……! とネームを読んだ時に驚いたのですが(笑)。実際に取材している中で、『セラピストが反応していると嬉しい』という声がたくさんあったんです。

 ステキだと思った相手が自分を魅力的だと思ってくれていて、その事実に喜びを感じる。分かりやすいサービスを受けることがすべてではなくて、心の満足感を求めている女性も多いのかなと思いました」

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©ヤチナツ/新潮社

フラットだから読者を選ばない

 意外にも、ウェブ連載の読者の4割は男性が占めているのだという。

「男性からは女性の考え方、求めていることなどが知れて『勉強になる』という声をいただきますね。作者のヤチナツさんの良さは、フラットなところ。特定の登場人物に入れ込んだり、過剰にドラマティックな演出をせずに、さらっと物語を進めていくんです。そうしたタッチが、読者を選ばないポイントなんじゃないかなと。あとは、『エロすぎないのがいい』という声も多いです。生々しい描写よりも、些細な会話のやりとりを濃密にすることで人間模様を描けたらなと思っています」

©ヤチナツ/新潮社

 最後に、本作の見どころについてあらためて聞いた。

「お会いした人の数だけ物語があって、エピソードのストックもまだまだあります。ウェブサイト上でいただく読者コメントには『自分はこうだった』と体験談を書いてくださる方も多いのですが、本作が自分自身の性やパートナーとの関係について考えるきっかけとなればうれしいです」


*『真・女性に風俗って必要ですか?~女性用風俗店の裏方やったら人生いろいろ変わった件~』は「くらげバンチ」(新潮社)で連載中