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「飛影に会うために魔界へ行く必要があった」
19歳のときにも「『幽遊白書』に出てくる飛影に会うために魔界へ行く必要があった」との理由から自殺を図ったこともあった。祥子は犯行は認めていたものの、その経緯の説明は支離滅裂だった。
「彼を殺した後に、彼の携帯を使って占いサイトを何度も見ました。そしたら『彼も感謝してる』って。彼があの世で幸せになるためには、彼がこの世で好きだったものを捧げなくちゃならない。それで中華料理を並べました。私も彼が好きだったワンピースを着て、彼が使用していたインシュリンを打ち、彼のもとへ行こうと思いましたが、死に切れなかったので、これは彼が『霊界へ来るな』と言っているのだと思い、出会い系サイトで知り合った男の人とセックスしに行きました」
そして、祥子は「私は彼を愛していた。彼も私に殺されて幸せだと思っているので、悪いことをしたわけではありません」という持論を展開した。犯行後、出会い系サイトで知り合った男とセックスしたことについては、「彼がこの世に未練を残さないための願掛けだった」と説明。かと思えば、「一緒に死ぬつもりだった」と号泣し、死後の世界のことをとうとうと語るのだった。
「これでは刑事責任能力を問うのは難しいだろう…」
捜査関係者の誰もがそう思った。だが、精神鑑定の結果、「刑事責任能力に問題はない」と診断されたので、祥子は殺人容疑で本格的に取り調べを受けることになった。