11月5日に行われるアメリカ大統領選。初の女性大統領を目指すカマラ・ハリスの強みとは何か。有識者4人が語り合った。

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カマラ・ハリスとは何者か

 冨田 ハリスについて話しましょう。バイデン政権では日本の首脳が米国を訪れると、副大統領が朝食会をホストする慣例があります。私は2021年に菅義偉首相(当時)、23年に岸田文雄首相が訪米した際の2度、駐米大使として副大統領のハリスにお会いしました。当時の率直な印象は、その場の雰囲気に対して少し自信がなさそうだった。検事出身の司法畑で、カリフォルニア州司法長官や上院議員を務めたものの、外交経験がなかったことも関係していたかもしれません。

 実際、ワシントンDCでの当初の評価は「実力でなった副大統領ではない」というものでした。女性で、若くて、非白人だから登用されたと。英語で「Trying too hard」(無理をし過ぎ)という表現がありますが、まさに無理をし過ぎて空回りしているように見えた。側近スタッフが相次いで辞職し、一部メディアでパワハラ疑惑まで報じられた。グレンさんは彼女をよくご存知ですね。

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“画力”に定評のあるカマラ・ハリス候補 Ⓒ時事通信社

 フクシマ はい。私はサンフランシスコ出身で、彼女もずっとサンフランシスコで検事をしていましたので、特に法曹関係者に共通の友人が多く、7、8回お会いしています。初めて会ったのは2016年。彼女が上院議員選挙に出馬した時でした。1時間ほど2人だけで話す機会がありましたので、いくつか、TPPなど外交に関する質問をしました。すると、「私は司法長官を務めてこれから上院議員になるので、外交に関しては特に答えはありません」と、正直な返事でした(笑)。

 ただ、支持者の会合でのスピーチは群を抜いていて、カリスマ性を感じさせるものだったので、出席者の多くは「彼女はいずれ大統領選に出てくるね」という見方をしていました。しかし20年の大統領選挙に出馬するとは思いませんでしたが。

 横江 ええ。アメリカの選挙コンサルタントでの仕事が私の最初のキャリアでしたが、その視点でみてもハリスの“画力”は圧倒的です。