10月28日、オリンパスから突如として発表されたシュテファン・カウフマン社長兼CEOの辞任。同社の説明では、違法薬物を購入していたという通報を受けて、会社が内部調査を行った結果、取締役会が辞任するよう求め、本人が応じたとされている。

辞任が発表され、株価が200円近く下落したオリンパス ©時事通信社

発端となった“通報者”はクスリの売人だった

 その“通報者”とは、カウフマン氏に薬物を渡していた売人であり、その売人に対して竹内康雄会長が連絡を取っていたことが「週刊文春」の取材で分かった。

 東京都八王子市に本社を構え、医療機器の製造販売で世界トップシェアを誇る老舗企業オリンパス。カウフマン氏は21年前の2003年にヨーロッパにあるオリンパスのグループ会社に入社し、本社で経営戦略の統括役員などに就いた後、去年4月から社長兼CEOを務めていた。

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 辞任発表から遡ること約1カ月前の9月24日午前10時過ぎ。オリンパス本社に一封のレターパックが届く。文書の内容は、同社社長(当時)のシュテファン・カウフマン氏(56)の薬物使用に関する情報提供だった。

竹内会長は警察に相談

 同社に「通報」し、社内調査を求めたのは、カウフマン氏に違法薬物を提供していた売人のX氏だ。同封されていたのは、テレグラムなどのアプリでやり取りされた18通に及ぶ通信記録の他、カウフマン氏が利用する複数のアカウントのスクリーンショットである。

「同様の文書は、同月22日午前に竹内康雄会長の自宅マンションにも届いていました。それらの資料には外部の人間が知り得ないカウフマン氏の個人情報が含まれていた。事態を重く見た竹内氏は警視庁に相談し、社内調査を進める判断を下したのです」(オリンパス関係者)

オリンパスの竹内康雄会長 ©時事通信社

 10月3日には竹内氏の自宅とオリンパス本社に2通目の配達証明郵便が届く。続いて、社外取締役の市川佐知子弁護士が所属する田辺総合法律事務所と、社外取締役の藤田純孝氏の自宅にも文書が郵送され、次第に同社上層部は危機感を募らせていく。

竹内会長から売人へのメール

 10月13日夜9時15分、竹内氏は自身のGmailアドレスから次のような文面をX氏に送信している。

〈レターいずれも拝受し、現在事実確認を行っております。オリンパス株式会社 代表執行役会長 竹内康雄〉

 一体何が起きていたのか。その後、辞任発表直前に竹内氏が売人に送ったメッセージ、発覚後のオリンパスの対応と警視庁とのやりとり、そして週刊文春が1年8カ月にわたって取材し掴んだカウフマンと売人の「本当の関係」とはーー。「週刊文春 電子版」ではオリンパス社長電撃辞任の全真相を明らかにした記事を売人X氏との取引現場を収めた写真とともに配信中だ。

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