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 菜々緒さんが悪女演技で注目を集めたのは、2014年に沢尻エリカさん主演で放送された『ファーストクラス』(フジテレビ系)。ファッション誌の編集部内で起こる女性同士のマウント合戦を描いた作品で、コネ入社で編集部に居座っている腹黒・毒舌キャラをクセ強で好演。ハマり役だと評判で“役者・菜々緒”の格が上がったのです。

 翌年の2015年にはWOWOWオリジナルドラマ『ふたがしら』で時代劇初出演を果たしますが、こちらでも悪女を熱演。

 松山ケンイチさんと早乙女太一さんのダブル主演作の『ふたがしら』は、江戸時代を舞台に、盗賊一味から抜けた主人公の二人旅を描いた痛快活劇。

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 菜々緒さんが演じたのは國村隼さん演じる盗賊一味の初代頭の妻。初代頭が亡くなってしまうところから物語は始まるのですが、かなり年齢差のある夫に先立たれたと思ったら、成宮寛貴さん演じる残忍・非道な二代目頭とも男女の関係になるというしたたかな悪女でした。

濃密な情事シーン「やっかいだねぇ、男ってやつは」

 そんな『ふたがしら』で、菜々緒さんと成宮さんによる濃密なシーンが描かれたのです。

 第4話では、成宮さんに後ろから抱きつかれ、首元に愛撫されても冷酷な表情のまま、「やっかいだねぇ、男ってやつは」とつぶやく菜々緒さん。成宮さんの右腕が着物の中に入り込み荒々しく胸をまさぐられても抗うことはせず、彼女の顔に彼の左手が伸び、口に人差し指を突っ込まれ悶える……。

 愛憎がうずまく複雑な関係性を描いた情事を、表情の変化で見事に演じてみせたのです。これぞ悪女といった貫禄が漂う演技でした。

『ふたがしら』(WOWOWオリジナルドラマ公式Xより)

 2015年はそのすぐあと、松坂桃李さん主演の『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)という、タイトルに「悪女」と冠されたドラマの悪女役にも抜擢されていました。菜々緒さんが演じたのは、次々と巻き起こる猟奇殺人事件の裏で暗躍するという本格的な悪女キャラだったのです。

 こうして「菜々緒と言えば悪女」というイメージが完全定着。

 そして2018年、満を持してGP(ゴールデン・プライム)帯の連ドラ初主演を飾ったのが『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)。主人公は「悪女を超えた悪魔」というダークヒロインで、人事コンサルタントとしてオフィス内の闇を暴いては、その長い美脚で悪徳社員にハイキックを食らわしていくといったストーリーでした。

 日本の芸能界において悪女の第一人者になった菜々緒さんでしたが、役者として次のフェーズに進んでいきます。