「もうダメだ。覚醒剤でも買ってきてくれ」
新婚初夜の生々しい描写も明かされた(#8)。約束通り、須藤は野崎氏との性行為を拒否。野崎氏に頼まれ、ゴム手袋で陰部に触れたものの、勃起はしなかった。以後も、田辺市の自宅に泊まった際に同様の行為があったが、結果は同じ。野崎氏が20年来の愛人であるX子さんを引き合いに出して「俺を勃たせられるのはX子だけだ」と言い、須藤が「じゃあX子に頼みな」と突き放すこともあった(#10)。
須藤のこうした告白は、事件の根幹に関わる新証言の布石でもあった。
「社長から『勃たないからもうダメだ。覚醒剤でも買ってきてくれ』と頼まれました。私は冗談だと思い、『お金くれるならいいよ』と言うと、社長はバッグから20万円を取り出して渡してきました。お金は自分の口座に入れましたが、社長から後日、『あれ、どうなった?』と催促されて、『マジなの?』と言いました」(同前)
須藤は催促された当日の同年4月7日、ネットの裏掲示板をみて、覚醒剤の密売人と接触を図り、注文の品を入手したのだ。公判では密売人仲間のAとBが証人出廷。Aは「本物の覚醒剤を売った」と証言し、Bは「氷砂糖を砕いた偽物だった」と言い張った(#6)。
「入手したものを渡した翌日の4月9日、夕食の時に社長から『あれ、使いもんにならん。ニセモンや。もうお前には頼まん』と言われました。それ以降、社長から覚醒剤の話題が出ることはありませんでした」(同前)
だが、検察側の被告人質問では、須藤が逮捕前についていた嘘も明らかになった。捜査段階の取り調べで「覚醒剤を買ってもいないし、買おうともしていない。何も知らない」と供述していた調書の内容が紹介されたのだ。
須藤はこう釈明した。