「私たちはセブンのようなすごい水準のサプライチェーン(商品の開発から消費者の手に渡るまでの一連の流れ)は北米では持ち合わせていない。だからこそ、もし一緒になったら、学びながら改善できればいいと思います」
セブン&アイホールディングス(HD)への買収提案などに関する取材に対し、そう説明するのは、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」の広報担当者だ。本当に「学びながら改善できる」という言葉を鵜呑みにできるのか。「週刊文春」が掴んだビジネスの裏側についてどのように答えたのか。
“7兆円買収提案”に揺れるセブン
クシュタールは今年10月、セブン&アイ・ホールディングス(HD)に対し、総額7兆円規模の買収を提案。これに対し、11月13日にはセブン&アイHDの創業家側が経営陣による自社株買収(MBO)を提案していることが明らかとなった。
「MBOによる非上場化は、セブン&アイ創業者の故・伊藤雅俊氏の長男ならびに長女が代表取締役、次男・伊藤順朗副社長が取締役を務める資産管理会社『伊藤興業』が主導しています。同社は、セブン&アイの株式約8%(5000億円超相当)を保有している。クシュタールの買収提案に反対する創業家側の明確な意思表示と言えるでしょう」(セブン関係者)
他方、クシュタールは11月21日、本社のあるカナダ・モントリオールに日経新聞、朝日新聞、読売新聞、NHKの4社を呼び寄せ、同社が運営するコンビニを回りながら取材に応じた。クシュタール創業者のアラン・ブシャール会長(75)は、最新のコーヒーマシンを実演したりしながらこう語ったという。
〈食品は非常に重要だ。適切な商品供給のモデルを作れなければ、「私たちは危険にさらされる」と言ってもいい〉(11月22日配信の日経新聞電子版より)
加えて、〈敵対的買収は計画にない〉〈経営統合で国際的な小売業のチャンピオンになれる」などと、セブン&アイHDに対する友好的な姿勢もアピールしたというブシャール氏。だが、買収合戦の焦点は今、クシュタールと創業家のどちらがより多くの資金を調達できるかに移っている。
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