主要政策は「リベンジ」
峯村 政権移行チームに入った人物に取材したところ、2年というタームから逆算して戦略を立てていることがわかりました。彼らに「主要な政策は?」と尋ねたら、一言、「リベンジだ」と。誰へのリベンジかというと、まずバイデン、トランプを訴追した司法当局、最後にトランプを裏切った人間だそうです。
冨田 そう考えるとトランプにとって重要なポストは、司法長官、国防長官、情報コミュニティの3つです。司法長官にはマット・ゲーツ、国防長官にはピート・ヘグセス、国家情報長官にはトゥルシ・ギャバードの名が挙がりました。彼らの共通点はいずれも担当部門の門外漢で、その組織に「しがらみがない人」だということです。
新浪 良いか悪いかは別にして、ハーバードやイェールのような名門大学出身者が少ないのも特徴だと言えますね。
峯村 トランプは、1期目の人事が大失敗だったと思っているそうです。その反省を踏まえて、今回の人選の基準として挙げているのが「とにかく忠誠心のある者。辞めてから暴露本を書かない者」だと。知識や経験よりも、自分への忠誠心を重視しているんです。
結局、ゲーツは辞退に追い込まれ、前フロリダ州司法長官のパム・ボンディが指名されました。トランプと関係が深いロビー会社に入り、トランプの訴訟の弁護団にも名を連ねた「トランプ派」の1人です。
冨田 ギャバードは、以前会った時はバランスのとれた人物という印象でしたが、最近は「バイデン政権がウクライナの生物兵器研究所に資金を流していた」など、ロシアのプロパガンダに乗っかった発言が目立ちます。はたして国家情報長官が務まるのかどうか。
峯村 国家情報長官の一番の役割は、インテリジェンスブリーフィングです。毎朝20分かけて国際情勢を大統領に説明する。その重要な仕事を彼女が担うと想像するだけで心配になりますが、トランプはハナからブリーフィングなんて聞かないそうです。なぜなら、「俺が一番詳しい」から(笑)。
冨田 外交を担う国務長官にマルコ・ルビオの名が挙がったのも、少し驚きでした。
峯村 側近は反対したようですが、トランプ本人があえてルビオにしたといいます。この意味は非常に大きい。ルビオの秘書官らと中国問題について議論したことがありますが、彼は筋金入りの「対中強硬派」です。
※本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「トランプ2.0はノーベル賞を狙う」)。全文では、大統領選挙における民主党の敗因、日本への関税の動向予測、ウクライナ戦争に対する姿勢、石破首相をはじめとする今後の日本との関係性などについて語られています。