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彼は逆玉の輿生活を自らの手で破壊してしまったのだ。
総務課の女性派遣社員も、契約切れを待たずして電通を去った。電通が辞めさせたのか、本人が辞めたのかはわからない。
しかし、当の飛松氏は、なんのお咎めもなく、その後も出社していた。離婚の報を知って、数日経ったころ、いつもと変わらぬ明るい彼の姿があった。
上司たちもそれまでと変わらず「おぼえめでたい」飛松氏に接していた。あんなことなどなかったかのように。
不倫がバレた「2人のその後」
私は飛松氏の姿を見るたびに訝った。
「先輩はこんなことになって悲しくはないのか? 反省はしていないのか?」
飛松氏のいきいきとした笑顔のどこにも影は見当たらなかった。後輩への容赦のなさも、それまでと変わらなかった。
その後、飛松氏は再婚し、新しい妻とのあいだに子どもをもうけ、最終的には営業局長にまで出世した。
不倫の代償を支払ったのは女性ばかりだった。世の中は、じつに不公平なのだ。