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星野仙一さんが生きていたら日大アメフト問題になんて言っただろう?

文春野球コラム ペナントレース2018 対戦テーマ「星野仙一」

2018/06/13
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厳しさの根底にある「愛情」

 日大の指導方針を擁護するつもりはない。教育の一環である学生スポーツと、生活をかけたプロスポーツとは厳然たる違いがある。ただ、ドラゴンズでそのような指導をしてきた星野氏が存命だったら、今回の問題についてどのように言及するのか、ふと思ってしまうことがある。

 それは私の全く勝手な憶測ではあるが、恐らく「選手に愛情をもって接することができるか。それが最も大切なことだ」と語るのではなかろうか。日大の前監督は、大学の常務理事という立場であったがゆえに、部活動に学内政治を持ち込んでしまったように思えて仕方ない。そこには選手、コーチ陣への愛情が入り込む余地はない。それどころか冷酷さばかりが際立っていった。

 星野さんは2011年から楽天を監督として率いた。就任直後に襲ったのは、東日本大震災だった。あの時、このまま野球を続けていいのか選手とともに悩み、苦しみ、チームが勝利に向けて必死に頑張る姿こそが被災者を元気づけると誓い、2年後の日本一に結びつけた。厳しさの根底にある選手、ファンへの愛情。それは昭和だろうが平成だろうが関係ない。

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 今、星野さんが一時代を築き上げた中日と楽天が交流戦を戦っている。今年1月にこの世を去ってから、初めての対戦である。「しっかりせい!」「何とかせんかい!」。あの怒鳴り声が、空から聞こえてくる。

星野仙一さんの厳しさの根底には選手、ファンへの愛情があった ©文藝春秋

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