自傷行為で入院「自分を刺せないなら、他の人を刺そう」
出所後は、新たな趣味に力を入れるようになる。自動車のカスタムだ。勝田本人のものとみられる複数のSNSでは、美少女アニメキャラのイラストやフィギュアの写真などと並んで、14年には軽ワゴン車を購入、納車した報告を嬉々として投稿していた。SNSの写真を見る限り、車体の一部を多少カスタムしているようにも見える。
この時期、実家の近くでは勝田が楽しそうに洗車している様子が目撃されている。近隣住民から「クニちゃん」と呼ばれれば愛想よく挨拶するなど、悪くない近所付き合いをしていたようだ。ある住民は、こんな会話を覚えている。
「家の前でよく洗車していたから『そんなピカピカに磨いて、彼女でも乗せるんか』と聞いたら、『おばちゃん、ぼく彼女いません』って返された」
しかし、新たな趣味を得ても思春期に身についた自傷行為の呪縛からは抜け出せなかった。15年、自ら腹を刺して腸に穴が開いて入院。担当医から「もう自分を刺すことはできない」と告げられたのを機に「自分を刺せないなら、他の人を刺そうと思った」と、退院の3日後に姫路市で14歳の少女の腹などを刺して逮捕。以来、娑婆に出ることなく刑務所に服役する。
「猟奇的ですが刑事責任能力は認められています。犯行についても、『住んでいる加古川市だとすぐにバレる』という理由で隣町までターゲットの少女を探しに行ったり、帽子をかぶって変装したりと、計画性も認められた。悪質性も高い」(前出・司法担当記者)
父親は「半殺しにしたことがある」
勝田というモンスターを生み出したものは何だったのか。この事件の裁判中、弁護側はこう指摘する。
「情性欠如型やサディズム型ペドフィリア(小児性愛症)と診断される勝田さんの性癖が犯行原因。その性癖は、子どもの頃に受けたいじめや、厳しい躾などにより形成された」
いじめと厳しい躾が原因――。飛松氏が、18年に両親に聞き取りした内容を振り返りながら言う。
「父親は、我が子に対して柔道技で首を絞めて気絶させるようなことをしていたらしい。父親はそれを『誰でもすることやろ』と思いこんでいた。それどころか『半殺しにしたことがある』とまで言うた。『それは虐待や』と指摘すると、父親も自らの虐待を認めていました。その横で奥さんが『お父さん、無茶したでな。あんな無茶したらあかんわな』と話していました」