文春オンライン

2018/06/24

大瀬良はなぜ「2段モーション」で飛躍したのか

 今年解禁された「2段モーション」を駆使し大ブレイクしている選手がいる。カープの大瀬良大地である。今年入団5年目。彼は去年の後半からゆったりと足を上げ静止するかしないかギリギリの投球フォームで勝ち星を重ねルーキーイヤー以来の10勝をマークした。今年はそのフォームをさらに進化させて「2段モーション」に挑戦している。

 大きく振りかぶり、左足をいったんベルト付近に上げて一度脱力、再び足を引き上げて打者に投げる。1度目の足上げの間は、両腕を高い位置でキープし顔の前でグラブと右手を合わせ、2度目でほどいて投げる。これがハマっているのである。

 去年より球速が極端に上がったり、変化球がものすごく切れている訳ではない。でも2段モーションのゆったりしたフォームにはどこか自信と余裕が感じられる。ランナーを背負えば2段モーションではなくなるが体重移動がスムーズになっているのか、今年の大瀬良はピンチになっても動じないしコントロールも乱さないのだ。

 4月は3勝2敗。5月は無傷の4勝。6月、交流戦でソフトバンクにつかまるまで7連勝を果たし、その後のセ・リーグ復帰戦で阪神・秋山に投げ勝ち、両リーグを通じて一番乗りの10勝目を挙げた。カープの選手が両リーグ通じて最速の10勝を挙げるのは球団史上7人目。また6月で10勝到達はあの無敗記録の13年楽天・田中以来。チームでは1982年北別府以来の36年ぶりの快挙。

「2段モーション」を取り入れてから「覚醒」したような大活躍である。このまま行けば20勝も夢ではない。

6月23日の阪神戦で10勝目をマークした大瀬良大地 ©時事通信社

緒方監督に怒られた「優しすぎる男」

 大瀬良は入団以来「優しすぎる」と心配され続けてきた。

 去年、阪神・藤浪からデッドボールを受けた時、藤浪に対し「大丈夫」と笑顔で手を挙げファンから「神対応」と言われたが、緒方監督にはその行為を「闘争心が足りない!」と叱責された。

 とにかく優しい男なのだ。

 しかし心配をよそに大瀬良は「優しさ」を持ち合わせたまま強くなっているようだ。10勝目を挙げた阪神戦。自身は7回3安打無失点の完璧な内容でマウンドを降りた。その後、ジャクソン・今村がつかまりあわや同点、一発出れば逆転のピンチを迎えた。大瀬良は自身の10勝目が消えるかもしれない。そんな時でも打たれてベンチに戻るジャクソン・今村に笑顔で声をかけていた。「大丈夫、大丈夫」というようにポンポンと相手の肩に手をやり穏やかにリリーバーたちをねぎらっていた。そんな男が今のカープのエースだ。

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