昨年大みそかに放送された「第75回NHK紅白歌合戦」。第2部の平均世帯視聴率は32・7%(関東地区、ビデオリサーチ)と4年連続で40%割れだったものの、前年を上回る結果となった。「週刊文春」が報じていた、紅白の知られざる“舞台裏”とは?(#1から続く)
(初出:「週刊文春」2025年1月16日号。年齢、肩書は当時のまま)
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“極秘リハ”を終えて迎えた本番、朝ドラ「おむすび」主題歌の『イルミネーション』に加え、代表曲『LOVE PHANTOM』と『ultra soul』をサプライズで披露したB'z。
しかし、味な演出の一方でハプニングも発生。生歌唱の出だしにマイクに音が入っていない場面があった。稲葉による圧巻のシャウトで事なきを得たが、「技術的なミスは他にも起きていた」と、あるスタッフは指摘する。
「Superflyの時があまりにも酷かった。クレーンカメラがボーカル越智志帆さんの顔にかかる、照明が強すぎて白トビして越智さんの顔が見えなくなる、といったミスが続出したのです」
午後10時台は昭和世代向けのナンバーが並んだ。そのトップバッターは南こうせつ(75)とイルカ(74)。南が「テレビの前のおやじさん、ギターを持ってきて!(コードは)Eマイナーで」と呼びかければ、イルカは「私の曲はFだからきっと挫折した人もいたでしょ」と続ける。それぞれの名曲『神田川』と『なごり雪』をスペシャルセッションし、70年代フォーク世代の涙を誘った。
団塊世代直撃のオファーの裏でNHKはあるレジェンドの“一夜限りの復活ライブ”を画策したという。