昨年大みそかに放送された「第75回NHK紅白歌合戦」。第2部の平均世帯視聴率は32・7%(関東地区、ビデオリサーチ)と4年連続で40%割れだったものの、前年を上回る結果となった。「週刊文春」が報じていた、紅白の知られざる“舞台裏”とは?

 (初出:「週刊文春」2025年1月16日号。年齢、肩書は当時のまま)

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 NHK「第75回紅白歌合戦」。渋谷のNHKホールでは、12月28日から出場歌手たちによるリハーサルが行われていた。

 ウルトラサプライズの“前兆”はあった。制作スタッフに共有されたスケジュール表のある日時。そこには「リハ」の文字だけが記され、どの歌手のリハかは秘匿扱いになっていた。スタッフのグループLINEでは、“当該時刻はホール立ち入り禁止”との知らせが複数回通達されていた。

 そして迎えた大晦日——。極秘リハを経て、サプライズ演出で羽ばたき輝いたのが、初出場のB'zだった。

2007年11月、ハリウッドで手形を取るB'zの松本孝弘(右)と稲葉浩志 ©AFP=時事

 通常、紅白のリハーサルでは、出場歌手がリハを終えた後、取材会とフォトセッションに出席する流れになっている。

 リハ2日目の29日。初出場の韓国5人組ガールズグループ「ILLIT」は口を閉じたまま控え目な笑みをみせていた。

「日本人2人を含む多国籍グループでデビューわずか8カ月にして出場を果たした。リハがあった日に韓国・務安国際空港で航空機事故が発生、韓国は1月4日までを『国家哀悼期間』に指定した。事務所の方針として彼女たちには、カメラの前でピースサインしない、口を開けて笑わない、など色々な制限がかかっていたようです」(芸能記者)

 実は会見前、ILLITへの“禁断の質問”が報道陣に通告されていたという。それは「今年の漢字は?」。ありきたりな質問だが、理由は「漢字は日本のもので韓国にはないから」だとか。

ILLIT。(左から)ミンジュ、イロハ、ウォンヒ、モカ、ユナ ©時事通信社

 毎年視聴率は右肩下がりで近年は打ち切りの危機まで囁かれてきた紅白。今回、午後9時からの第2部の平均世帯視聴率が32.7%(関東地区)と、前年比で0.8ポイント上昇した。復活の要因は中高年シフトにあるという。

「前回はK-POP勢が史上最多の7組出場するなどアイドルが大渋滞。若者向け過ぎたのか、過去最低の視聴率を記録した。今回は、第1部をほぼ若手歌手で固め、第2部は中高年に刺さる大物歌手の布陣を組んだ。視聴者からの反響も良く、局内は『大成功だ』とお祝いムードです」(同前)