浅野 お祖父様もお祖母様もサイコーのキャラですね(笑)。
「米国に拠点を移したい」エージェントに止められたワケ
内田 その祖父の祖先が三浦半島の出身で三浦姓なんです。最後の将軍徳川慶喜の教育係をしていた人がいるということはわかっているのですが、謎がありまして、母は子どもの頃に家系図を見たことがあるんですね。そこに「按針」の名があったので「この変な名前の人は誰?」と祖母に尋ねると、「内緒です」と言って押し入れにしまい込んでしまったというんですよ。
浅野 それは三浦に領地があった三浦按針、ウィアリム・アダムスですよ。
内田 『SHOGUN』の主人公のひとりですよね。ではもしや私にはイングランドの水先案内人の血が入っている?
浅野 也哉子さん、DNA検査に行きましょう。
内田 私も先祖捜しの旅をしなければなりませんね。12~13年前から浅野さんが次々にハリウッド映画にご出演になるのをすごいなあと思って見ていたのですが、今日お話を伺って驚きました。あの頃並行してお祖父様を探す旅をしていらっしゃったとは。
浅野 アメリカにいたからこそ情報にアクセスできたということもありますが、そもそも俳優の活動の場としてハリウッドを視野に入れたのは、自分にはアメリカ人の血が入っていることを意識していたからだと思うんです。いずれは行かなければならないとどこかで思っていた。
内田 この対談をお願いするとき、日本にいらっしゃらないかもしれないと思ったんですよ。
浅野 日本と行き来し続けているのは、『マイティ・ソー』への出演が叶ったとき、ロサンゼルスに引っ越すべきかエージェントに相談したところ「やめろ」と言われたんです。渡辺謙さんのようにアカデミー賞ノミネートという冠がないのだから、「彼は日本のスターだ」と売り出せるようになるまで日本で活躍し続けろと。だから、めちゃくちゃ日本で頑張ったんですよ。「なんだ、商業映画にも出るのか」と叩かれもしましたが。