警察の摘発を恐れてか、午前7時になると店は次々に撤収した。
元暴力団幹部で、現在は生活保護費で暮らす大阪市内の60代男性は数年前、自らが処方してもらった睡眠導入剤を露店で売ったことがある、と明かす。
最近は、路上に薬を並べず薬の受け渡しは車の中でするなど、売り手が摘発を警戒しているという。
「睡眠薬の無許可販売とかはあかんよ」12年間で157人の摘発…西成の違法露店の実態
かつて釜ケ崎の露店は年がら年中、日中に開かれていた。西成署によると、2009年までは多いときで約300店が並び、道をふさいでいた。
医師の処方が必要な薬、わいせつな裏DVDなど、違法な物品を売る店が多かった。賞味期限切れの弁当を売る店もあり、多くの売り手が地域外から来ていた。
西成署は釜ケ崎の露店に絡み、13~24年の12年間、136事件で延べ157人を摘発した。違法または無許可の商品を販売目的で所持・陳列したとする容疑だ。
商品の内訳は無修正のわいせつDVDが87事件94人、著作権を侵害するコピー商品(主にDVD)が40事件52人、医師の処方が必要な医薬品が9事件11人だった。ほかに道路の無許可使用で26件を摘発した。
直近の24年は5事件で5人を摘発。出店は目に見えて減っているが一掃はされていない。署によると、今も約20店が並ぶという。
違法露店に対し、地元の人も眉をひそめる。ある住民は「露店は散歩中の楽しみだから続いてほしいけど、睡眠薬の無許可販売とかはあかんよ。のみの市のように雑多な品が並び、売り手と交渉して安く買えるようになるといい」と話す。
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