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「基軸通貨ドル」が米産業復活を妨げている
その上でトッド氏は、「基軸通貨ドル」こそ、真の問題だと指摘する。
〈「脱ドル化」を推進するBRICSを脅迫したトランプは、「基軸通貨ドル」の存在こそが米国の国内産業の復活を妨げていることを理解していません。ある国の天然資源の豊かさは経済の他の分野の発展を妨げる力にもなることを「オランダ病」と言いますが、米国はいわば「スーパーオランダ病」に苦しんでいる。ここでの「天然資源」はドルです。だからこそ米国では、高学歴者ほど、産業やモノづくりの就職につながる科学やエンジニアの分野ではなく、ドルという富の源泉に近づくために、金融や法律の分野に進んでいます〉
〈トランプ政権は、「現実」は認識できていても、ネガティブな感情に囚われるあまり、「政策の立案と実行」の次元で誤っているのです。トランプ、ヴァンス、マスクが進める“ルサンチマンの政治”は、米国の内部崩壊をさらに加速させるだけでしょう〉
この他、ウクライナ戦争の和平交渉が可能でも必要でもない理由、「西洋(米欧)分裂」の意味、欧州が好戦的であり続ける理由、日本の核武装の推奨などをエマニュエル・トッド氏が論じた「米欧の分裂と日本の選択」の全文は、4月10日発売の「文藝春秋」5月号、および月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(4月9日公開)に掲載されている。
