罵倒され続けた「応援歌練習」は約30分で終了したが、翌日以降も4日間にわたって応援の練習が行われた。しかしAくんは2日目以降参加しなかったという。
「最終日だけは応援団が優しくなった、と同級生が話していました。それを聞いて、『まるっきり洗脳の手法だな』と思ったんです。自由な校風と聞いてきたのに、実際は全然違った」
応援歌練習をあまりに理不尽に感じたAくんは、部活の先輩に「こんなことを毎年やっているのですか」と確認したという。
「むしろ前の年などはより酷かったと聞きました。ランダムに選ばれた人がみんなの前に出て歌わされる『リード』という仕組みがあり、一部の新入生は強制的に立候補させられたと言っていました。手を挙げずにいると応援団に詰め寄られて無理やり前に引きずり出されたそうです。応援団が竹刀で床を叩いていたとも聞きました
以前にも、Twitter(現在のX)に『秋田高校の応援歌練習がよくないと思う人はリツイートしてください』というような匿名の書き込みがされて学校で話題になったことがあったようです。でもそれを見つけた学校が『応援練習のことをSNSに書くな』という指示があったそうです」
Aくんは「応援歌練習」があったことで心理的に落ち着かない日々が続いた。
「あれだけ大声で罵倒された経験はないですし、異常だとしか思えません」
応援歌練習についてどう思っているのか。
「応援歌練習は人権侵害です。人生であれだけ大声で罵倒された経験はないですし、異常だとしか思えません。いまでも時々思い出しては腹が立ちます。SNSに書き込むなと脅すのも悪質です」
秋田高校に問い合わせると、「応援歌練習」は現在も行われているが、「今は期間も短く、大声を出さなければいけない、という雰囲気はまったくないと言ってもいい」という回答を得た。
「応援歌練習は応援委員会が指導をしますが、生徒会の生徒も関わっています。体育館で行われますが、昔とは変わりつつあるんじゃないかと思います。以前は長い期間、昼休みや放課後に『応援歌練習』がありましたが、今は期間も短く、昔のように大声を出さなければいけない、という雰囲気はまったくないと言ってもいい。生徒によっても感じ方はありますが、無理に参加させないようにしています」(秋田高校・教頭)
今でも体育会系式の校歌練習が残る高校は全国に多くある。どのようにして新しい時代に適応していくのだろうか。

