ロシアW杯グループリーグ初戦、コロンビア戦。2回目のW杯に臨む香川真司は、初めて10番らしい活躍を見せたのではないだろうか。前半3分、大迫勇也のシュートをGKが弾いたところに香川がつめ、左足で合わせ相手のハンドを誘いPKを獲得。このPK、香川自身がキッカーに名乗り出た。
「キッカーは決まってなかったですね。ただ自分でとったんでね、蹴る気満々でした」
香川がPKを蹴ることはチームメイトにも意外だった
香川、代表、PKといえば、2015年のアジアカップ、準々決勝UAE戦を思い出す。1-1でPK戦になり、香川は6人目のキッカーを務めて外し、涙した。アジアカップで日本が準決勝進出できなかったのは5大会ぶりのことだった。だが、あのときの影響は、この試合の香川にはなかった。
「もともと代表では(本田)圭佑が出てたら、圭佑が蹴ってたから。それ以外のキッカーは決まってなかった。でも、自分も練習してたんでね、うまく結果として出たのは良かった」
先制点を振り返り、香川はにっこり笑った。実は、香川がPKを蹴ることは、チームメイトにとっても意外だったと原口元気が明かす。
「サコくん(大迫勇也)が蹴ると思ったんですけどね。シンジくんも練習してたみたい」
「ちょっとタイミングを外すというのは頭の中にあった」
ボールを置いた香川は小刻みに助走をつけて、GKとの間合いをはかり、ほぼ中央に蹴り込んだ。
「ちょっとタイミングを外すというのは頭の中にありました。(あの蹴り方は)相手も多分データが取れてなかったと思いますし、だからこそ使えるなと思っていたので、うまくできたと思います」
この日のミックスゾーン(取材エリア)に、香川が登場したのはラストから2番目だった。ドーピングコントロール(薬物チェックのための尿検査)の対象選手だったためだ。この日の主役を待ちわびた報道陣の矢継ぎ早の質問にも、落ち着いた様子で丁寧に答えていった。