コンプライアンスが厳しい昨今のテレビ業界だが、昭和は何ともユルかった。例えば、中にはテレビ一面に女性のお尻を映し、さらには大まじめに素人女性のお尻を評論していた番組もあった。制作を担当した「ハウフルス」の菅原正豊氏は「今だったらたぶん放送できない」と振り返るくらいだ。『「深夜」の美学 『タモリ倶楽部』『アド街』演出家のモノづくりの流儀』(菅原正豊、戸部田誠著、大和書房)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の1回目/2回目を読む/3回目を読む)
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「今だったらたぶん放送できないですよ」
番組の名物にもなった、女性たちがお尻を振るオープニングは最初からです。お尻はね、僕、好きなんですよ。お尻だけは40年間最後まで続いた。そういう意味では、テレビ朝日にはホントに感謝してますね。あれ、今だったらたぶん放送できないですよね。よく40年、何も言われなかったなと思います。
あの時に流れているBGM、THE ROYAL TEENSの『Short Shorts』もずっと同じ。あれは音効さんが探してきてくれました。タイトルも映像にぴったり、一部ではヒットしましたね。
巷ではおっぱい派とお尻派がいますよね。「おっぱいは表の文化でお尻は裏の文化」なんて言われることもありますけど、その通りで。お尻ってかわいいでしょ。秘密っぽいし味わい深いし、エロチックでドキドキしない? おっぱいってなんかそのまんまな感じがするけど、お尻は想像力が働く。そこに惹かれます。
それで、お尻を鑑賞して、真面目に品評・採点をする「今週の五ッ星り」というコーナー(1990年11月~1992年9月)をつくったんです。

