ライムスター宇多丸、エッセイストでイラストレーターのしまおまほ、構成作家の古川耕による「『タマフル』鼎談」最終回は、いまだから聞ける「『タマフル』でつらい時ってありました?」。東日本大震災翌日の放送、「タマフル24時間ラジオ」などについて語る。(#3 後編へつづく)
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最初のころ、ドトールで映画評のメモ書いてた
宇多丸 でも、新番組ってほんと分からないですからね。
しまお 結局慣れるんだと思いますよ。やってるうちに。
宇多丸 映画評だって、やると決まっていきなりこうなったというよりは、やりながら「ノートはちゃんとつけていったほうがいいな」とか、だんだんやり方を変えていったから。最初はメモももっと走り書きだったんだけど、だんだん細かくなっていって。だって最初はオレ、ドトールでメモ書いてたんだもんね。今はちゃんと集中しないと駄目だから、TBSの会議室でやってるけど。
しまお つらい時ってありました? 『タマフル』で。
宇多丸 『タマフル』は……別にないかな。
しまお スランプもない?
古川 そういや宇多丸さんが体調が悪い時ってあんまり記憶にないですね。どうでした?
宇多丸 まあ、オシッコ我慢してるぐらいかな。
古川 それは体調ではないな。
しまお 直前まで二日酔いで吐いてた時ありましたよね?
古川 うそ?
宇多丸 二日酔いでつらいとかはあったかな。昔はちょっと、今考えるとほんとありえないんだけど、土曜の昼過ぎまで飲んでて、酔いが残ったまま……。
しまお あの時間で二日酔いが残ってるんだもんね。
古川 人として駄目だ。
宇多丸 そうそう。そういうこと平気でやったりしてた。まだ映画評はなかったころだけど。
古川 1年目か。だったらいいか……っていうもんでもないね。
宇多丸 そうそう。まだそれこそラッパーモードが強いっていうかさ。「金曜は遊ぶに決まってるでしょ!」みたいな、そういうノリのまま来てるっていうか。
しまお 確かにラッパーモードからっていうのはあるかもしれないですね。
古川 あと、若さもあるよね。その飲み方っていうか、その生活は。
宇多丸 別に今もやってるけどね。曜日によっては。
古川 やってるのか。
宇多丸 全然やりますけど、それで放送に臨んじゃったのは、やっぱりちょっと若気の至りですね。あと、放送中にガブガブお酒を飲んだのもありましたね。
しまお あれ、なんでしたっけ?
宇多丸 菊正宗ですか。コンバットRECと日本酒を飲みながら演歌を聴こうじゃないか特集って……特集でもないよね、それ。だって、そんなの好きな人からしたら「は?」っていう。
古川 そして、聴いて分かるレベルでみるみる酔っぱらっていくという。
宇多丸 だってオレ、最後完全にろれつ回ってなかったからね。ほんとに文字どおりベロンベロン。
しまお じゃあ、あんまりつらい時はなかったんだ。