――一之瀬さんは取材で死刑囚が暮らす拘置所にも足を運ばれているんですよね。実際に行ってみてどうでしたか。

一之瀬 人がそこで生きているという体感をあまり持てないまま行ったのですが、姿は見えなくともざわめきや息づかいは聞こえてきて、「うわ、人いるな」と。体温まで感じられて、少し怖かったです。面会室も一度だけ見させてもらったことがあるのですが、すごく冷たくて寂しい感じでしたね。

強いストレスに晒され「拘禁症状」という異常反応を起こした死刑囚の面倒を見るのも、刑務官の仕事の1つだ

 執行現場は公開されていないので、もちろん見たことはありません。ですが、いつか公開されるべきだとは思います。未だ公開されないままなのは、市民の偏見や無関心が背景にあるのではないでしょうか。本当は知るべきことですよね。

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――現場で何が起こっているかは、広く知られてほしいですよね。

一之瀬 そうじゃないと議論もまならないですよね。だから作品を通じて、今まで関心がなかった人にも届いたらいいなと思っています。

次の記事に続く 「すぐに死亡するわけではない」落下した死刑囚はうなり声を上げ続け、しばらくすると…現役刑務官が明かす“死刑執行のウラ側”