逮捕された男の携帯から出てきたのは、ズタボロに切り裂かれたベトナム人女性の遺体写真…。勤務先の同僚である当時44歳の日本人女性を殺害した犯人。警察が証拠品を調べていくうちに明らかになった、男の余罪、そして犯行動機とは? 平成23年に起きた驚きの事件をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/後編を読む)
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殺害されたのは44歳の女性
〈この崖下に白骨死体あり。110番通報頼む〉
こんなメッセージが書かれた三角表示板が山道に置かれているのを通勤途中の旅館の仲居が発見したことから、世にも奇怪な事件が幕を開けることになった。
通報を受けた地元警察が付近を捜索したところ、ほぼ白骨化した女性の遺体を発見。その遺体は1カ月前から行方不明になっていた下山由香里さん(当時44)であることが分かった。
由香里さんは3人の子どもを持つ主婦だったが、4年前に離婚。3年前には地元の男性と再婚し、一番下の子どもを連れて、3人で暮らしていた。がんで闘病中の夫に代わり、コンビニやビジネスホテルなどで働き、一家を支えていた。
実はこの事件が発覚したときから、警察は犯人と思われる男の奇妙な行動を把握していた。遺体が発見される1週間前、「山中で遺体を発見した」という110番通報を受けていたのだ。
その内容があまりにも具体的だったため、道案内を頼んだが、「関わりたくないので勘弁して」と言って電話を切った。警察は現場付近を捜索したが、降雪の影響などもあって、遺体を見つけることができなかった。
警察が被害者の交友関係を捜査するうち、勤務先のコンビニで同僚だった清川明雄(当時46)が浮上した。清川の携帯電話の発信記録を調べたところ、遺体発見前にかかってきた奇妙な110番通報の発信元と一致した。
犯人の携帯から出てきた「恐ろしい写真」
清川は警察に任意同行を求められたが、その際に契約が切れたもう1台の携帯電話を大事そうにセカンドバッグに入れたところを捜査員は見逃さなかった。
その携帯電話を調べたところ、「死に際」というフォルダがあり、「グェン・ティ・トゥイ」というベトナム人女性の名前と共に、遺体を切り裂いた写真などが5枚発見された。
「何だこれは?」
しかもその写真には撮影日時と共に、〈寝ている娘の頭めがけて鉄パイプを振り下ろし、首を絞めて殺した〉という犯行の経緯が小説のように書かれていた。写真は性器が写ったものが2枚、ほとんど全裸で寝ているものが1枚、遺体を切り裂いて内臓を露出させているものが2枚あった。
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