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真中満氏が語るスワローズ後半戦のキーマン・西浦直亨の「打力、守備力、歌唱力」

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/07/05
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後半戦に向けてのキーマンは西浦直亨

――前回まではお互いに「何とかいいところを探そう」としていたのに、今回はスラスラと希望の光が出てきますね(笑)。

真中 そうだね、今回は楽しいよ(笑)。今は他球団も元気がないのも幸いしているよね。巨人は先発の菅野智之、山口俊は計算できるけど、後ろの投手に不安があるし、カープも交流戦終盤はバタバタしていた。先発が早めに崩れる試合が多いから、後ろに負担が来ているしね。阪神もそうだし。2015年にヤクルトが優勝したときもこんな感じだったからね。ウチが強いというよりは、みんなが団子状態だったから。今年も、今のところはそんな感じ。

――打撃陣に関して言えば、「一番・西浦直亨、二番・青木宣親」が、見事にハマりました。

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真中 二番に青木を起用するということは「バントはしない」という意味だと思うし、攻撃的な姿勢が打ち出せたよね。(6月30日、対阪神タイガース戦で受けた)頭部死球の影響が心配だけど……。一番の西浦がようやく覚醒の兆しを見せ始めているのは嬉しいよね。

一番打者として覚醒の兆しを見せ始めている西浦直亨 ©文藝春秋

――去年、真中監督時代に西浦選手を我慢して起用し続けたことが、ようやく実を結んだんですね。

真中 いやいや、言い方悪いけど、「我慢」というよりは、去年に関しては「他にいないから起用していた」というのが実際のところかな(笑)。廣岡(大志)はまだ早かったし、大引(啓次)はケガをしていたから。でも、西浦の守備はグンとうまくなったよね。現状、ヤクルトのショートで考えたら、西浦が一番守備がいいわけだから、しばらくの間、試合に出続けるんじゃないかな。単に「捕る・投げる」だけではなく、周囲への気配りなど、周りを見る余裕も出てきた感じがするよね。

――西浦選手は、打撃フォームを変えたことで、いい場面でのホームラン、タイムリーヒットも目立ちますね。

真中 追い込まれてからはまだ課題はあるけど、早いカウントでは思い切りのいいスイングをしていますよね。でも、ここ最近は追い込まれた後も「何とかしよう」と、逆方向を狙ったり、コンパクトなスイングで粘ったりする姿勢は見えるよね。

――西浦選手は、性格的にはどんなタイプの選手なんですか?

真中 性格的には、先頭に立って、チームを引っ張っていくタイプではないよね。寡黙な性格なので、覇気があるのかないのか、誤解を招きやすいタイプかな? だけど、僕自身はプレースタイルは人それぞれでいいと考える性格なので、西浦のスタイルは、それはそれで構わないと思っていましたけどね。やっぱり、自分のペース、ルーティンもあるわけだから。内に秘めたものさえ持っていれば、それで全然構わない。

――ファンにとっての西浦選手と言えば、ファン感における衝撃的、かつ破壊的な歌唱力のイメージも強いですけどね(笑)。

真中 あれはインパクトがあるよね(笑)。でも、あれも自分から積極的にやっているんじゃなくて、先輩やチームメイトからイジられて、やらされているだけだから。本当に自分から「やりたい」って、前に出ているわけじゃないっていうのは、ずっと感じていたけどね。

――もうすぐ前半戦も終了し、オールスターブレイクを挟んだ後半戦も始まります。どのような戦いを見せていけばいいでしょうか?

真中 まずはオールスターまでの残りは全力投球で飛ばしていった方がいいと思います。ここで離されると後半戦が厳しくなるから、選手の出し惜しみはせずに戦った方がいいよね。去年、あれだけ凹んだチームなんだから失うものはないわけだし。打撃陣に関しては、戦力が整ってきているので、休ませながら起用できるのも大きいと思います。ケガ人が戻ってきて、層が厚いのはいいよね。代打に畠山(和洋)が控えているだけで、やっぱり楽しいからね。今は投打のバランスがいいので、僕も大いに期待して、見守っていきます!

構成/長谷川晶一

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