「89(やきゅう)」に身を捧げ続けている人がいる。
いわゆる野球界で松坂世代といわれる1980年生まれ。世代の代名詞となっている松坂選手との対戦で今から20年前の甲子園を沸かせたPL学園高校のキャプテンであったのが、現在楽天イーグルスの指揮を執る背番号「89」平石洋介監督代行である。
平成の怪物・松坂大輔選手は今月行われるオールスターゲームに見事ファン投票で1位に選出された。平石監督代行にとっても嬉しい出来事に違いないと思い、話を聞かせていただいた。
「(松坂選手の活躍について)それは嬉しいですよ。彼は松坂世代と言われるぐらいのスターですから。選手としても一流ですが、これまた人間が良いんです。みんなが付いていく存在だし僕らが元気をもらえる。大輔には1日でも1年でも長く野球を続けてもらいたいですね」と、盟友を讃えた平石監督代行のPL学園高校時代のリアルな話が聞きたくなった。
大西宏明氏が語る平石監督代行のカリスマ性
話してくれたのはこの方。PL学園高校vs横浜高校、あの伝説の1戦で、延長11回裏5ー6の1点ビハインドの場面に、横浜松坂選手から平石監督代行がヒットを打ってまず出塁、送りバントの後に同点タイムリーを放った、のちにプロ野球で活躍する大西宏明氏である。
大西氏と平石監督代行は中学3年の時、ともに全日本メンバーに選ばれ、PL学園では良きライバルであり甲子園をともに目指したチームメイト。その後大西氏はプロ入りし2004年近鉄時代に2ケタ本塁打を放つなどの活躍を見せた。
河内「高校時代はどんなキャプテンでしたか?」
大西氏「キャプテンって色んなキャプテンシーがあると思いますが、彼の場合は良いところも悪いところもチームメイト全員に包み隠さず人間を出していましたね。皆が一目置くところもあり、ほっとけない部分もある。だからこそキャプテン平石洋介を皆でサポートし1つのチームを作っていこうという空気がありました」
河内「どうやってキャプテンに選ばれたのですか?」
大西氏「PL学園は同級生の選手間投票でキャプテンを決めます。その当時、平石は左肩をケガしていてキャッチボールも出来ない状態だったにも関わらず、選手全員が満場一致で平石を選んだのです。中村順司監督に『2年生からレギュラーのお前がなんで1票も入ってないんだ』と、平石のカリスマ性のせいでちょっと怒られました(笑)」
平石監督代行の人間力が感じられるエピソードである。
大西氏は、来年度プロ野球独立リーグに新規加盟する球団(堺市)の新監督に就任する事が決まっている。
河内「指揮官として平石監督代行にこうなって欲しい、そして自分はこんな指揮官になりたい、というのはありますか?」
大西氏「平石洋介には、あのままでいて欲しいです。逆に僕は来年からチームが始まるので、それまでに平石に話を色々と聞きたいですね。そこで指揮官としての自分作りをしたいので、平石に教えを乞うと思います(笑)」
河内「大西さんにとって平石監督代行はどんな存在ですか?」
大西氏「中学時代に出会い高校3年間も一緒に過ごしましたが、素晴らしい選手でしたし、素晴らしい人間、そして何より素晴らしい男です」
大西氏の、盟友平石洋介への熱い気持ちを聞くことができた。
あの夏の甲子園を沸かせた高校球児は、また新たなステージで野球界を引っ張っていってくれる事だろう。