小泉今日子と中井貴一がW主演を務めるドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。第1話から第8話までのTVer見逃し配信が累計2400万回再生を突破(※6月8日時点)するなど、高い支持を集めている。第1シリーズの放送から13年という歳月を経てもなお、本作が愛される理由とは? ドラマウォッチャーの明日菜子氏が寄稿した。(全2回の1回目/続きを読む

『続・続・最後から二番目の恋』主演の小泉今日子 ©文藝春秋

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「全員が揃わないと続編はやらない」

 2012年に放送された『最後から二番目の恋』の第3作目、『続・続・最後から二番目の恋』もいよいよグランドフィナーレだ。2014年の『続・最後から二番目の恋』から約11年振りの幕開けに、既存ファンだけではなく、当時リアルタイムで見ていなかった若者世代も夢中になっている。

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 主演の小泉今日子と中井貴一をはじめ、飯島直子・内田有紀・坂口憲二といったオールスターキャストにはじまり、脚本の岡田惠和氏から主題歌担当の浜崎あゆみまでもが再集結した本作。出演者もスタッフも「全員が揃わないと続編はやらない」と同じ想いを抱えていたそうだ。

中井貴一 ©文藝春秋

 岡田氏へのインタビューによると、特発性大腿骨頭壊死症*で『続』への出演を最後に、芸能活動を無期限で休止していた坂口憲二の電撃復帰が、続編制作の大きな後押しになったという。第1期当時は小学生だったにもかかわらず、抜群の存在感を発揮していた長倉和平(演:中井貴一)の娘・えりな役の白本彩奈が、精力的に役者業をつづけていたことも一つの追い風になったことだろう。
*股関節の一部である大腿骨頭への血流が滞り、骨が壊死してしまう原因不明の病気。国の指定難病

『続・続・最後から二番目の恋』(フジ系)のキャスト陣。(下段左から)中井貴一、小泉今日子、(上段左から)飯島直子、白本彩奈、坂口憲二、内田有紀(番組公式Xより)

“中年の恋”を真正面から描いた貴重な一作

 時代を丁寧に汲み取るストーリーテリング、心揺さぶるキャストたちの芝居、そして、奇跡的な巡り合わせへの感謝があいまって、毎週胸がぎゅっとしめつけられている。

2012年放送の第1シリーズ『最後から二番目の恋』(FODより)

 鎌倉の古民家に移住したドラマプロデューサーの吉野千明(演:小泉今日子)と、その隣に住む鎌倉市役所職員・和平と弟妹たちの日常を紡いだ『最後から二番目の恋』は、令和では希少なホームドラマであり、若者が中心の日本のラブストーリー市場において、貴重な“中年の恋”を真正面から描いた一作だ。