「おいおい、ちょっと待て」
――盛況だったんでしょうね。50社のうちの9割くらいですか?
小泉 いえいえ、約320社です。「おいおい、ちょっと待て」と思いましたよ。農水省は50社だと言ったじゃないか、と(笑)。1万トン以上の扱い量のない中小業者も関心を持って、「まず話を聞いてみたい」と参加してくれたようです。実際に申し込みが殺到し、受付を一時休止した。まずは大手に限定していますが、早く店頭に並ぶことを最優先に考え、契約のあり方を改善していきます。
――備蓄米は玄米のまま保管されています。従来は卸売業者が精米作業に加え、袋詰めもしてきました。こうした作業を小売業者ができるのでしょうか。
小泉 そうした作業を自前で行える業者に、優先的に販売していきます。パッケージングには通常、数週間かかりますが、政府から売り渡された備蓄米の袋にシールを貼るだけであれば、1週間でできるそうです。また、早く店頭に並べるために他のコメとブレンドせず、備蓄米のみで販売するという業者もいます。先日、面会した楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史さんは、「精米すると時間がかかってしまうので、精米機とセットにしてネット通販で売る」とおっしゃっていました。
――5キロ2000円で売れるのは、備蓄米だけです。コメ全体の価格目標としては3000円くらいでしょうか。
小泉 石破茂総理が「平均3000円台」と言っていますからね。POSデータでは5キロ当たりの全国平均が約4200円ですが、2000円の備蓄米を入れることで高騰するマーケットを落ち着かせる効果を狙っています。
――備蓄米を出すことで「コシヒカリ」などのブランド米も含めたコメ全体の相場も下がっていきますか。
小泉 先日、ある大手の小売業者から、「価格が少し落ち着いてきたんじゃないですか」と、ありがたい声をいただきました。2000円の備蓄米が出るのを待って、消費者が「焦って買わなくてもいい」と考え、買い控えが始まっているそうです。消費者だけでなく、今までは売り控えていた卸売業者から、「買いませんか?」との連絡もあったそうで、前向きな変化が出てきました。
――備蓄米の放出を国民民主党の玉木雄一郎代表は、「1年たったら動物の餌になるようなものを『安く売ります』ったってそりゃ安く出ますよ」と批判しましたね。
小泉 たしかに古米ではありますが、そもそも主食用米と同じもので、安心して食べられます。その点で、玉木さんの発言は残念な思いがいたしました。
本記事の全文(約9000字)は、文藝春秋7月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(小泉進次郎「コメを守るためトランプ流でやる」)。
全文では、以下の内容をお読みいただけます。
・「小泉大臣は農家の敵だ」というレッテル貼り
・JAは敵対する相手ではない
・現場の実感と農水省のデータに差がある
・2025年産の新米価格は下がるのか
・コメを輸入する選択肢はなかったのか


