今季一番速い打球速度は177.5キロ
そんな井上が今季一番速い打球速度を記録したのはこれまたバファローズ戦。こちらは7月3日にアルバースから放ったバースデーアーチで打球速度が177.5キロ。高さ21.96メートルで飛距離129.2メートルだった。マリーンズで打球速度トップクラスを誇るマット・ドミンゲス内野手の最大打球速度が5月19日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)で田中正義から放った一発で166.1キロ(ちなみにマリーンズファンには印象深い5月24日のファイターズ戦で九回にトンキンから放った起死回生の同点2ランは165.2キロ)だったことから比較しても井上の打球の速さがうかがえる。
井上の特徴としては真ん中付近のゾーンに来たボールに関しては確実に160キロ以上の打球速度を誇り、真ん中だけではなくその周辺の高めなどのゾーンも圧倒的な打球速度で捉えている。甘い球は逃さずに打ち返す強打者の証でもある。
これについて本人は「甘いと思ったところはしっかりと振り切ることを意識している。また真ん中と高めのゾーンが一番、下半身と上半身がマッチして振りやすい。体重をボールにぶつけられる空間」と自慢げに語ってくれた。日本プロ野球日本人最重量の114キロの体重をボールにぶつければ結果はおのずと見えてくる。可哀そうなのはボールの方だ。とんでもない音を放ち、打球はスタンドへと消え去っていくしかない。
「今年は本当に充実している。ただ気持ちは謙虚に。チームの勝利に貢献する一打を打てればと思う」
圧倒的な打球速度が生み出すライナー性の打球で本塁打を量産する背番号「44」。それは時には最高到達地点がRX-78-2ガンダム程度でスタンドまで届く。そしてまた別の時には15階のマンションほどの打球を飛ばし、守る野手を混乱に陥れ、間にポトリと落とすなどまさに無双状態。マリーンズが1974年以来のリーグ1位でのリーグ優勝を手にするためにはこの巨漢のバットは必要不可欠なのだ。今後もどんな数字を叩き出しながら勝利に貢献するのか。注意深く見守って欲しい。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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