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幻の歌詞! 「落合GMの胴上げだ」

――「燃えドラ!」は、毎年選手名を変えてどんどん新しいバージョンがつくられていきますが、これはどのようにしてつくられるものなのでしょう?

山本 いつも夜中に全体をつくり上げて、それを翌朝、私の家内がチェックします。熱烈なドラファンのウチのカミさんが、第一推敲者なんです(笑)。家内検閲の後は、加藤吉治郎プロデューサー(CBCラジオ「ばつぐんジョッキー」のディレクターで「燃えドラ!」を世に送り出した方)に送り、それを加藤さんが球団に持参して、録音して良いかどうかを決定します。場合によっては修正もあるんですよ。

――どんな修正があったのでしょう?

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山本 たとえば、落合(博満)監督の名前を一度しか歌詞に入れていないのは、山本が落合嫌いだからだと言われてますが……(笑)。実は球団とのやりとりで「オレ竜監督」がいいね、となったんです。これは余談ですが、2014年版の「谷繁兼任監督の 夢と若さの 胴上げだ」のところは最初「谷繁兼任監督と 落合GMの胴上げだ」だったんですよ! ただ、球団から「やはりベンチ入りしている人の名前が好ましいです」という応答があって、今の形に落ち着いたんです。

一度しか歌詞に名前が入っていない落合博満 ©文藝春秋

――最新バージョンの「燃えよドラゴンズ! 命の限り」(アルバム『才能の熟成』収録)は「燃えドラ!」史上初の選手名が出てこない曲でしたが、ジーンとする素晴らしい曲でした。

山本 「兄と別れた弟が きっと主砲に育つだろう」のところなんか、自分で泣けちゃうもんね(笑)。

――堂上直倫選手ですね! 歌詞に「昭和の時代に産まれ出て 平成の今に沸き上がる ヒーローその名はドラゴンズ 僕らの勇気を震わせる」とありますが、まさにドラゴンズというチームそのものが僕たちにとってヒーローなんだと思いました。

山本 そう! そうなんですよ! チームがヒーローなんです。それは子どもの頃から変わりません。

「兄と別れた弟」こと堂上直倫 ©文藝春秋

――「燃えドラ!」にもたくさんのバージョンがありますし、それ以外にもたくさんのドラゴンズソングをつくられてきましたが、山本先生のお気に入りの一曲を挙げるとすると何でしょう?

山本 うーん、困っちゃうなぁ……。「燃えドラ!」のほかに一曲挙げるとすると、「ああ、うるわしの名古屋軍」かな。この曲の最後に「おじいちゃんはその昔 名古屋軍に酔いしれた おやじやおじさんは若い頃中部日本にときめいた あにきもオレも弟も中日に憧れた 妹も姉さんもおふくろもドラゴンズに愛を見た」という歌詞があります。私が「燃えドラ!」を出したことで、それまで野球に興味がなかった母や姉が中日ファンになったんです(笑)。いろいろな家でそういうことがあるとうれしいな、という意味を込めて書きました。それが自分の思いです。

――「命の限り」にもお父さんと中日球場に行くという歌詞がありましたが、ドラゴンズは家族ぐるみで代々応援されてきた稀有なチームなんですよね。

山本 そう、そうです! 私のファンのご夫婦で、息子に「孝政」と名付けた方がいましたからね。

――発売されて44年経ちますが、今でも、そしてこれからもドラゴンズファンは「燃えドラ!」を歌い続けていくと思います。ホームでもビジターでも、点が入れば歌い、ドラゴンズが勝てば歌い、負けても歌います。なぜこんなにファンに愛されていると思われますか?

山本 私は中日ファンのみなさんがいるからこそ、「燃えドラ!」をつくることができる、そういう気持ちで作品に向かっています。ナゴヤドームでファンのみなさんが「燃えドラ!」を歌ってくれている様子を中継などで見るたびに、心の中で「ありがとう!」と言っています。みなさんが歌ってくれるから、その期待に応えようと思いますし、みなさんに恩返ししたいから、いつまでも「燃えドラ!」をつくっていこうと思います。

――我々ファンもこんな素晴らしい歌をつくっていただいた山本先生に感謝の一言です! 最後に、8月18日に行われる水木一郎さんとのディナーライブについて教えてください。

山本 この日は水木一郎アニキとデュエットの「燃えドラ!」のほか、ソロでドラゴンズにまつわる曲、名古屋にまつわる曲をたっぷり歌います! 初公開の「燃えドラ!」2018年バージョンも歌いますよ! 「名古屋はええよ!やっとかめ」のこの日だけバージョンも歌いますし、私のギター伴奏でアニキがアニソンを歌うのも初めてです。ぜひご来場ください!

聞き手:チャッピー加藤
構成:大山くまお

山本正之ディナー&ライブ「オレたちの燃えドラ!」特別ゲスト:水木一郎 イベントの詳細はこちらまで。
http://www.bellabeaux.co.jp/masayuki/

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