「結婚する相手が彼女だったらいいな」
「両親は付き合っていることは知っていましたし、私たちが結婚するのだろうなということもおそらく分っていたと思います。また、結婚する相手が彼女だったらいいな、というふうに思っていたと思います」
このように、上皇ご夫妻は交際を始めたころから2人を常に温かく見守り、結婚を後押ししていたようだ。そして、1990年6月29日、2人は結婚し秋篠宮家を創立したが、このとき、秋篠宮さまは24歳、紀子さまは23歳。1993年6月9日に結婚した5歳上の兄、天皇陛下よりも約3年早い結婚だった。
では、結婚について紀子さまの両親はどのように考え、どう対応したのだろうか? 一般国民の娘である紀子さまの方が、皇室に嫁ぐ、そのハードルは高かったはずであり、両親からの反対も当然、予想された。
「子供の結婚は、本質的に親の問題ではないと…」
結婚式直前の1990年5月、当時、毎日新聞の記者だった筆者は、縁あって紀子さまの両親、川嶋辰彦さん・和代さんにインタビューすることができた。同インタビューが掲載された「秋篠宮家創立、おめでとう礼宮・紀子さま」(「毎日グラフ臨時増刊」1990年7月14日発行)からやりとりを一部、紹介したい。
――紀子さまからご結婚の話をおききになった時、最初から賛成なさったのでしょうか。
辰彦さん 子供の結婚については、本質的に親の問題ではないと考えてまいりました。ですから、紀子からそういうニュアンスを込めた話を耳にいたしました時も、とくに僕が許可をするとか、反対するとかという問題ではないと、自分自身に言い聞かせてまいりました。
和代さん 私は、母親としての立場から、ついつい現実的なところに目が向いてしまいまして、夫の場合とは違ってまいります(笑い)。宮さまに最初にお引き合わせいただいたころから、家族の前では比較的オープンな形で話しておりました。ある時期から、紀子が宮さまとの結婚にまつわることを申しはじめましたが、はじめのうち私は、そのようなことは有り得ないことではないかと思っていたのでございます。ですから、私は紀子にいろいろな面から考えるのですよと申してまいりました。
辰彦さん 私はつねづね、次代を生きる若い世代が、その前の世代に引っ張られることがありましてはいけないのではないか、と考えてまいりました。 今回のことにつきましても、娘が熟慮した上で決心すれば、それを尊重いたしたいと存じます。

