1100円でどこまでできる？ AirTagとの“機能格差”
以上のような機能があり、Appleの公式ライセンスも受けていることから、ダイソーの紛失防止タグは一部で「ジェネリックAirTag」と呼ばれています。こう呼びたくなるのもたしかに理解できるのですが、実際にはAirTagとは機能面でいくつかの決定的な違いがあります。
一つは、近距離通信規格「UWB」に対応していないことです。
AirTagは、まず大雑把にマップでその位置情報を表示し、おおむね10メートル程度まで近付くとUWBという別の仕組みに切り替わり、具体的な方角や距離を教えてくれる二段構えになっています。「どの建物の中にあるか」を探すのが前者、「どの部屋のどの引き出しに入っているか」を探すのが後者と考えればよいでしょう。
一方、ダイソーの紛失防止タグはUWBに対応していないため、タグにどれだけ近付いても、位置情報の表示はマップ上でしか行なえません。
マップはそもそも精度がそれほど高くありませんので、大雑把な所在は分かっても、詳しい距離や方角を把握できません。マップ上では自宅にあるように見えて、実は自宅前の道路に落として放置されていた……といったことも、精度的には十分に起こり得ます。
いまAirTagがウケている使い道の一つとして、旅行や出張で持参するスーツケースに取り付け、ロストバゲージを未然に防ぐ用途があります。AirTagであれば、スーツケースがきちんと空港内にあるかどうかはもちろん、空港の荷物カウンターを流れてきた自分のスーツケースが何メートル先にあるか、前述のUWBを使えばすばやく見つけられます。
しかしダイソーの紛失防止タグだと、分かるのはせいぜいスーツケースが空港内にあるかないか程度です。リモートで音を鳴らして所在を知る機能もありますが、それほど大きな音ではないため、厳重に封をしたスーツケースの中に押し込められていると、たとえ近距離でも聞こえないことがほとんどでしょう。
ショッピングセンターなどで車内に置いておき、帰宅時に駐車位置を探す用途においても、AirTagであれば車までスムーズに誘導してくれますが、ダイソーの紛失防止タグだとそうはいきません。特に駐車場が複数のフロアにまたがっている場合、駐車しているのが今いるフロアなのか、それとも上下の別のフロアなのかを判別するのも困難です。
