ほぼ映画初出演の主要キャスト
──主演の若い俳優たちの自然な演技が印象に残りました。
ルケッティ監督 主要キャストはほぼ映画初出演なんです。撮影前に5日間のワークショップを行って、詩を読んだり踊ったり、シーンを即興で作ったりする中で役作りを進めていきました。朝から晩まで一緒に過ごすことで、「役を演じる」というより、その役として生きる。そんなカットが撮れたと思います。
──監督にとって“美しい夏”とはどのようなものでしょう?
ルケッティ監督 撮影は夏ではなく、9月と10月に北イタリアのピエモンテで行いました。本来寒い時期のはずでしたが、地球温暖化のおかげで、まだ夏の光が十分に残っていて、素晴らしい画が撮れました。
アメーリアが登場するシーンも、本当は川で撮影する予定でしたが、干上がっていたので、湖に変更。結果的にこちらもとても美しい、ベルベットのような映像が撮れました。
私にとって“美しい夏”とは、まるでベルベットのような季節。柔らかく、官能的で、どこか誘惑的。生きていることに身を委ねたくなるような時間です。
思春期は、まさにそんな“美しい夏”。そして私はいまも“永遠の思春期”を生きている。だからこそ、ジーニアの夏に、あれほど強く共感できたのだと思っています。
『美しい夏』(原題:La Bella Estate)
2025年8月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
STORY
1938年、田舎からトリノに出て、お針子として洋裁店で働く16歳の少女ジーニアは、画家のモデルとして生計を立てる3つ年上の美しく自由なアメーリアと出会う。アメーリアによって芸術家たちが集う新しい世界への扉を開かれ、ジーニアは大人の階段を上り始める。思春期真っただ中のジーニアと、既に自立した女性としてたくましく生きるアメーリアの2人が、互いの姿に自分の未来/過去を映しながら、徐々に惹かれ合っていく──。
STAFF&CAST
監督・脚本:ラウラ・ルケッティ/出演:イーレ・ヴィアネッロ、ディーヴァ・カッセル/原作:『美しい夏』チェーザレ・パヴェーゼ作 河島英昭訳(岩波文庫)/イタリア/111分/提供:日本イタリア映画社/配給:ミモザフィルムズ/©2023 Kino Produzioni, 9.99 Films.jpg
